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「始めにCoccoに手紙を書いた」 「ウタ拝」主宰の辺土名さんインタビュー 初の音源化、10日に沖縄公演


「始めにCoccoに手紙を書いた」 「ウタ拝」主宰の辺土名さんインタビュー 初の音源化、10日に沖縄公演 「沖縄のウタ拝」上演に向け、意気込みを語る辺士名直子さん=10月16日、琉球新報社(又吉康秀撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子

 ピアニストで作編曲家の辺土名直子とアーティストのCoccoを中心とした舞台「沖縄のウタ拝」沖縄公演が10日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホールである。今回ウタ拝を初めて音源化したアルバム「UTAHAI」と2022年の公演のDVDが10月23日に発売された。ウタ拝を始めたきっかけや込めた思いを主宰者の辺土名に聞いた。 (聞き手・田吹遥子)

 ―ウタ拝を始めたきっかけは。

 「自分の表現したいものを形にしたいという気持ちと戦後70年の節目が自分の中で重なった。焦燥感に駆られ、始めにCoccoに手紙を書いた。舞台をやる時に一番に彼女に踊ってほしいと思っていたから」

 ―ウタ拝は琉球古典や民謡、ポップスやクラシックが混ざるジャンルレスな音楽と山川さやかや照屋勇賢らが手がける映像、Coccoの踊りが融合した総合芸術になった。表現したいことは。

 「沖縄の舞台は楽しそうでにぎやかに見える。でも根底にあるものは何かを考えた。例えばカチャーシーは喜びも悲しみもかき混ぜて踊ると言うけど、その悲しみは何か。沖縄の根底にあるものを表現したい。その背景や文化を一直線で想像できるもの。いろいろな角度や表情を想像するきっかけになれば」

 「アンケートで『自分のふるさとを大切にしようと思いました』というメッセージが多い。それを見ると、ちょっとは伝わったかなと思う」

2022年の「沖縄のウタ拝」で歌うCocco(右)とピアノを弾く辺土名直子=2022年10月8日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール

 ―初の音源化、舞台との違いは。

 「舞台は映像もありきの音楽なので余白を大切にしている。音源では、その曲の緩急や明暗をはっきりさせて仕上げた」

 「舞台は人数が限られるけど、音源なら願っていたことをやろうと思い地謡を入れた」

 ―「琉球古典音楽」人間国宝の大湾清之も笛で参加している。

 「アルバムの最後に大湾先生が吹く一節は、文化だけでなく思いを後世に伝えていけば正しくなっていくという思いで入れた。大湾先生が『即興ではなくちゃんと型のある古典の一節を吹きましょうね』と提案してくれてうれしかった」

 ―10日に沖縄、29、30日に東京、12月10、11日に大阪で公演する。

 「沖縄古典民謡特有の厚みが増していると思う。きれいでも面白いでも怖かったでもいい。公演を見終わった後の会話にそういう感想が出るとうれしい」

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 「沖縄のウタ拝」沖縄公演は10日午後4時半、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール大ホールで開催する。出演は辺土名直子とCoccoのほか、歌三線に大城建大郎(笛も)、仲村逸夫、仲嶺良盛、箏に池間北斗、歌に声楽家の糸数知、ベースにChrisと根岸孝旨、パーカッションに椎野恭一。公演日程やチケット情報は、ウタ拝公式ホームページで確認できる。問い合わせ先は事務局、電話070(3803)7905。