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沖縄キリスト教学院大の学生、黒糖アイスを開発 「離島産業知る契機に」 来月、業務用販売へ


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沖縄キリスト教学院大学の学生らが開発したアイスクリーム(提供)

 沖縄キリスト教学院大学の学生らが、離島の過疎問題と、離島経済を支える黒糖産業の実態について考えるきっかけにしようと、県産黒糖を使ったアイスクリームの商品開発に取り組んでいる。同プロジェクトは「地域と国際開発論」をテーマとする石原修非常勤講師の授業の一環。アイスの原材料となる伊平屋島産黒糖は、プロジェクトに賛同したJAおきなわが提供した。

 同授業では4月から、JAおきなわや国際協力機構(JICA)、伊平屋村役場の関係者を特別講師に招き、離島の黒糖在庫問題やガーナの児童労働問題などについて学びを深めてきた。学生らは「より自分ごととして考え、課題解決につなげる糸口を模索したい」との思いから、商品開発に挑戦することにした。県産黒糖に、ガーナ産カカオを加えたアイスクリームを開発した。

 15日までに試作品を完成させ、8月中旬から県内の飲食店やホテルなどに業務用アイスクリームとして販売する。販売量や目標金額は現時点では未定だが、9月には売上金を活用して伊平屋島へ渡り、同島の中学生と一緒に島の魅力や離島が抱える課題について意見交換する。

 人文学部4年の大城可奈さん(22)は「授業を通して、農業が離島経済を支える重要な産業にも関わらず、深刻な人手不足に陥っていることを学んだ」と振り返った。同部3年の金城寿和さん(20)と大嶺美波さん(21)は、県の特産品である黒糖が新型コロナ禍で大量の在庫を抱えていることに驚いたという。その上で「どう工夫すれば消費拡大につながるのかも考えたい」と述べた。

 石原氏は「学生には、普段何気なく口にしている食材の背景にある実情や課題を知り、どう課題解決につなげるか考える習慣を身につけてもらいたい」と期待した。 (当銘千絵)

JAおきなわの担当者(右端)から伊平屋島産黒糖を受け取る学生ら=西原町の沖縄キリスト教学院大学