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そば殻から固形燃料 北海道 ごみ削減し収入源へ


そば殻から固形燃料 北海道 ごみ削減し収入源へ バイオコークスのサンプル。さまざまな植物由来の原料で製造が可能=北海道幌加内町
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 ソバの収穫量全国一の北海道幌加内(ほろかない)町や、同町を管内に含む「きたそらち農協」(深川市)などでつくる共同事業体が、そば殻から固形燃料「バイオコークス」を製造する実証事業を始めた。本年度中に製造装置を導入して試作などに取り組み、2026年度の本格稼働、販売を目指す。関係者は、廃棄物の削減と新たな収入源確保の一石二鳥に期待を寄せる。
 「二酸化炭素(CO2)削減に腐心している企業から需要があるはず」。同農協の幌加内地区代表理事田丸利博さんは自信をのぞかせる。政府が脱炭素を推進し、CO2を吸収する植物を原料とするバイオ燃料に注目が集まっているからだ。
 農林水産省の調査によると、22年のソバ収穫量は全国で4万トン。市町村別では幌加内町が2370トンとトップだった。
 町では年間約300トンのそば殻が発生。一部は枕の材料や畑の土壌改良材となるが、大半は廃棄されてきた。3年前、バイオコークスを知り「余っているもので環境に良い製品が作れる」と乗り出した。
 製造のノウハウを持つ産業ガス大手エア・ウォーター(大阪市)も事業に参加。同社の担当者は「金をかけて処理していた廃棄物で利益を生み出せる」と強調する。
 殻や茎などを円柱の容器に詰め、熱と圧力を加えて固形に。原料によっては乾燥や破砕が必要な場合があるが、ソバは収穫後に保存のため殻ごと乾燥させていて、サイズも十分小さいためコストを省ける利点がある。
 他のバイオ燃料と比べて燃焼温度も高く、ごみ焼却場などで使われる石炭コークスとの置き換えが期待できるという。
 田丸さんは、事業が軌道に乗れば、そば殻の活用方法として道外にも情報提供したい考え。「全国一の産地として、他の地域にも利益が生まれるようにしたい」と語る。
バイオコークスのサンプル。さまざまな植物由来の原料で製造が可能=北海道幌加内町