prime

出資者なし、共同経営者なし、師匠なしのゼロからスタート 地ビール醸造所 沖縄・コザ


出資者なし、共同経営者なし、師匠なしのゼロからスタート 地ビール醸造所 沖縄・コザ 東村パインを使った地ビールで、「インターナショナルビアカップ」の銅賞を獲得したフィルブリューイングの武井祐揮代表=12日、沖縄市
この記事を書いた人 Avatar photo 池田 哲平

  沖縄県沖縄市の一番街の一角に「脱サラB―BOYのクラフトビール醸造所」を掲げる小さな店舗がある。店主はドレッドヘアで、店の中にはDJブースも。一見すると、醸造所には見えないが、奥へと進むといくつものタンクが並び、新しい味のビール開発が進んでいた。

 一番街で、ことし10月1日に醸造所「フィルブリューイング」をオープンさせたのは、神奈川県出身の武井祐揮さん(38)。ブレークダンサーとして活動を続けているほか、システムエンジニアとして会社員勤めの経験もあり、異色の経歴の持ち主だ。約10年前に沖縄に移住し、マリン関係や水タバコのバーでの勤務などを経験。5年前にアメリカンスタイルのクラフトビールを飲んで感動し、ビールを造りたいと決意した。コザの街(沖縄市)でのクラフトビール造りを目指したという。
 沖縄市はヒップホップが好きな人や、ダンススタジオも多い土地柄。「ここしかないと思った」と語る。

8種類あるオリジナルビールの一部

 出資者なし、共同経営者なし、師匠なしからのスタート。酒造免許を取得するための実績証明書の取得に向け、別の酒造所でのアルバイトや、関東などのクラフトビール醸造所を訪ねて習うなど試行錯誤し、醸造所を開店させた。
 「B―BOYが本気でビールを造っている酒造所はどこにもないと思う」と笑顔で語る武井さん。開店したばかりで、経営はまだ軌道に乗っていないが、9月に開かれた日本地ビール協会主催の「インターナショナルビアカップ」で、オリジナル地ビールが銅賞を獲得する快挙も果たした。
  武井さんは「うまいものをつくりたいと思った」と語り、オリジナルビールは現在、8種類まで増えている。その名前も「BBOYイズム」「やーまん」などストリート文化にちなんだものが多く、唯一無二のクラフトビール醸造所となった。店名の「フィル」は武井さんのダンサーネーム。ブレークダンスは現在も続けており「生涯続けていく」という。

新しい味のビール開発が進む、醸造所「フィルブリューイング」

  開店から日が浅く、経営はまだまだ軌道に乗っていない。ただ、飲食店やアパレルなどの「周年祭」や結婚式など各種イベントで、オリジナルビールを醸造する「委託醸造」を開始するなど、クラフトビールの道を独自のスタイルで突き進む。現在は島とうがらしなど地場産品を使ったビールの開発も目指しているという。「本気で味を突き詰めたビールを多くの人に味わってほしい」と語った。(池田哲平)

「とにかくうまい」を追求

東村パイン地ビール銅賞 酸味と風味広がる 沖縄市「フィルブリューイング」

 【東・沖縄】沖縄市の一番街で、クラフトビールを醸造する「フィルブリューイング」(武井祐揮代表)が東村産パインを使用して開発した「パパパパイナポー」が、日本地ビ …