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ガソリン価格、適正表示を 県、事業者に依頼文 税抜き表示で安価装う、法令違反も


ガソリン価格、適正表示を 県、事業者に依頼文 税抜き表示で安価装う、法令違反も 価格表示をしないガソリンスタンドも多い=13日、県内の店舗
この記事を書いた人 Avatar photo 玉寄 光太

 ガソリンスタンド(GS)の価格表示について、消費者から県への問い合わせが増えている。ガソリン価格は消費税法などに基づき、税込み価格で表示する義務があるが、税抜き価格を表示している店舗があるからだ。価格高騰を背景にした競争意識のほか、税込み表記にした場合、顧客から「高すぎる」といった苦情を受けることもあるといい、事業者らの間で徹底されていないのが実情だ。

 県は適切表示を促す文書を事業者に出した。「法と制度の周知を徹底したい」と税抜き表示の違法性を指摘し、一般消費者に誤認させないよう是正を求めている。県がこうした依頼文を送付するのは初めて。

 県内のレギュラーガソリン1リットル当たりの平均小売価格は9月11日時点で191円20銭と最高値を更新するなど、9月中頃まで12週連続で値上がりが続いた。GS同士の価格競争も激化し、税抜き表示で価格を少しでも安く見せる動きが一部の店舗で常態化している。

 消費者から税抜きの価格の表示を疑問視する問い合わせが県に相次ぐようになった。県消費・くらし安全課は、9月8日と10月3日の2回に分け、県内の計約130カ所のGS運営事業者に「全て税込み価格で記載を統一すること」との適切な表示の徹底を求める依頼文を送付した。

 ガソリンの価格表示は、消費税法に基づき税込みの総額表示が義務付けられており、県は看板や給油機周辺の表示、レシートなどのガソリン価格について、全て税込みで記載を統一することを求めている。

 税抜きで表示した場合は不当景品類および不当表示防止法(景品表示法)の有利誤認に抵触する恐れがある。違反した場合、課徴金の納付を命じられる場合もある。県の担当者は「事業者だけでなく消費者にも法律や制度について周知し、安全な消費活動を守ることにつなげたい」と話す。ただ、ガソリン価格表示自体は義務ではない。ある店舗の経営者は「ガソリン価格高騰で経営は厳しい。他店より値段が高いといった印象を持たれるのであれば、価格表示をしない方がいい」と話した。

 消費者が分かりやすいよう、価格表示を選んだ事業者間では不公平感が根強い。税込み表示を徹底する事業者は「やっと県が動いたという思いだ。税抜き表示を続ける事業者は、消費者に対して誠意を持ってほしい」と訴えた。

 複数店舗で、税抜き表示の看板を掲げている事業者は「税込みで表示してみたが『高い』との苦情が相次いだ」という。「法律に触れることは承知している。でも(税抜き表示で)放置されているスタンドもある。生き残るために仕方なく戻した」とため息をつくように漏らした。

(玉寄光太)