石垣市は石垣―台湾・基隆を結ぶ高速船の定期航路を2024年度内に開設する。新型コロナが5類に移行し、市の基幹産業の観光業の発展と持続的な経済成長につなげる。
台湾と近い地理的優位性を生かし、大量の人と物の往来を可能にし、経済の好循環を生み出したい考え。片道約10時間かかる航行時間は高速船の導入で5時間に短縮されるという。有事の際の住民避難での使用も見込む。市は26日付で庁舎内に「定期フェリー航路開設準備課」を設置した。
内閣府や国交省、県、市、民間事業者らで構成する検討委員会(委員長・嶋田廉市企画部長)が航路開設に向けて7~12月に5回、協議を重ねてきた。運営方法や課題点などをまとめた報告書を25日、市役所で中山義隆市長に手渡した。
船舶は台湾船籍の大型船「ナッチャン・レラ」を使用。4階建てで、全長112メートル、約1万1千トン。旅客定員800人。40フィートコンテナ28個程度と乗用車100台分を積載可能。運賃は片道2万円、市民は1万5千円でさらなる減額を検討中。運営は共同企業体(JV)が望ましいとしている。ナッチャンは約40億円。現在台湾大手物流会社ワゴングループが所有しており、今後JVが10年ローンで買い取る計画。1日1往復を週2~3回運航予定。
11月には中山市長が台湾を訪問して関係者と意見交換し、台湾側からも開設に向けて前向きな回答があったという。
報告書を受け取った中山市長は「定期航路開設は海外からの人、物、金、アイデアを呼び込むことにつながる。市の持続可能な発展の基礎となる雇用創出などで、経済の好循環を生み出すことが可能になる」と実現に向け意欲を示した。
市フェリー準備課は今後、関連企業誘致や運賃補助制度の創設などに向けて取り組む。
(照屋大哲)