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新・沖縄21世紀ビジョン基本計画 労働生産性向上の源泉<けいざい風水>


新・沖縄21世紀ビジョン基本計画 労働生産性向上の源泉<けいざい風水>
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「新・沖縄21世紀ビジョン基本計画」では、県民所得の着実な向上により県民が経済的な豊かさを実感できるよう、労働生産性の向上を目標の一つとして掲げています。労働生産性は、労働者1人当たりどれだけ成果を生み出したかを表しており、県民所得への影響が大きい要因とされています。

 労働生産性の向上に影響を与える要素とは何か。労働生産性の成長率は(1)労働の質上昇(学歴や勤続等による質の向上を表す)(2)資本装備率上昇(労働者1人当たりに割り当てられる資本ストック(建物・機械、ソフトウェア等)の量が多くなると労働生産性が向上すること)(3)TFP 成長率(労働や資本といった生産要素以外で成果に寄与する部分。具体的には技術進歩や組織の効率化等)―の三つに分解することができます。

 2000年以降における沖縄県の労働生産性成長率の要因を見てみると、労働の質上昇と資本装備率上昇の寄与は、ほぼ一定に推移していることがわかります。一方で、TFP成長率の寄与は各期間のばらつきが大きく、TFP上昇が労働生産性の向上を決定づける主な要因となっていることがわかります。

 TFPの動向については、10~15年の期間に大幅な成長が見られました。同期間においては観光客数の増加に伴う景気拡大や政府の沖縄振興策といった外部環境の変化が見られた期間でもあります。

 これらの要因がTFPの上昇をもたらしたのかを明らかにするには、当時の沖縄経済の状況等を鑑みながらより詳細な分析を行う必要があります。

(おきぎん経済研究所 永田健志)