新技術の実証実験や社会実装を行う「テストベット・アイランド」の形成に向け、県と沖縄総合事務局などは25日、読谷村と那覇市で生成人工知能(AI)と専門家の助言などを通した生活習慣改善の実証実験を実施したと発表した。両市村のメタボリック症候群の該当者や予備軍の人たちを対象にした実験で、3カ月間で平均3.3キロの減量に成功したという。
沖縄の社会課題の解決に向けた新たな製品・サービスなどが生まれる環境を整備しようと、県が優れた技術や企業の集積を図ることを目的に設置した「沖縄実証実験支援プラットフォーム」を活用した初の実証実験。事務局を担う県産業政策課の兼島篤貴班長は「初めての実証実験で成果が出てきた。2024年度からは予算を確保し、いろいろな実証実験をサポートしたい」と話した。
ヘルスケアベンチャーのissin(イッシン・東京都、程涛代表)が提供する生活習慣改善プラグラムを読谷村と那覇市内の参加者に体験してもらった。バスマットとデジタル体重計を一体化した「スマートバスマット」での体重測定を継続してもらった上で、AIや専門家による健康に関する助言などをLINE(ライン)で送る同社の「スマートデイリー」で生活習慣の改善を促した。読谷村と那覇市の体験者に3カ月ずつ提供。実験終了後も読谷村で100%、那覇市で98%の人が継続している。
読谷村健康推進課の宜保健課長は「特定健診の受診率を上げたいが、行動の変容を促すハードルはなかなか高い。新たな取り組みを探していた」と振り返った。イッシンの寺田博視取締役は「われわれのような小さな会社では実証実験の場所を探すのが難しい。沖縄のプラットフォームからありがたい機会を提供してもらった」と話した。24年度は県内の別の自治体と実証実験を続ける予定。
沖縄実証実験プラットフォームは23年度にプレオープン。現在、電気自動車や顔認証サービスのベンチャー企業などから18件の相談がある。
(梅田正覚)