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上場企業 最高益見通し 4~12月期 20%増、円安影響 中国景気減速に懸念も


上場企業 最高益見通し 4~12月期 20%増、円安影響 中国景気減速に懸念も 主要業種の利益増減率
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 2023年4~12月期決算の上場企業の純利益合計額が過去最高水準となる見通しであることが8日、分かった。SMBC日興証券の中間集計で前年同期に比べ20・0%増の26兆9450億円となった。輸出企業に有利な円安基調や新型コロナウイルス禍の収束を支えに、自動車を含む輸送用機器や機械が堅調だった。今後は不動産市況の低迷などに伴う中国景気の減速が足かせになる懸念もある。
 集計対象は7日までに決算発表した786社で企業数は全体の55%に当たる。東京証券取引所の最上位「プライム」の上場企業が中心。増加をけん引した製造業は20・5%増の12兆7573億円。内訳は輸送用機器が85・3%増の4兆9356億円、機械は30・1%増の1兆646億円だった。中国経済の不振やコロナ禍の巣ごもり需要の反動で、電機は2・4%増にとどまった。化学は20・9%減の1兆1168億円に落ち込んだ。
 SMBC日興の安田光チーフ株式ストラテジストは製造業の見通しに関して「中国の消費が落ち込むと、日本企業の製造計画に影響が出かねない」と指摘。中東の地政学的リスクの高まりで、貿易量が鈍る恐れもあると説明した。
 非製造業も増益を確保し、13・7%増の10兆57億円。電気・ガスが料金の値上げを反映、大幅な黒字に転換した。ただ電気・ガスを除くと、非製造業は20・2%減の7兆9313億円。資源価格高騰で前年同期に好調だった商社を含む卸売が反動で減益となった。コロナ禍収束による訪日客の回復で陸運が44・4%増、空運は2・9倍と回復した。