会員制の講演会組織「琉球フォーラム」(主宰・普久原均琉球新報社長)の4月例会が3日、那覇市のオリオンホテル那覇で開かれた。一般社団法人Green innovation代表理事の菅原聡氏が登壇し、「気候変動対策と企業の持続可能な成長に向けた共創の推進」をテーマに講演した。
菅原氏は世界各国やグローバル企業が気候変動対策に大規模な投資計画があることを紹介する一方、「中小企業の約8割が脱炭素に向けた取り組みを実施・検討していない」と指摘した。その上で「化石燃料などの炭素市場は縮小市場になる」との見方を示し、「脱炭素は環境対策の域から経営議題の重要事項になっている」と説明した。
世界の投資家らも気候変動対策に4千兆円超以上を投資し、今後も世界全体でこの流れは加速すると解説した。菅原氏は自動車業界などの事例を挙げ、製造から廃棄までサプライチェーン(供給網)全体での脱炭素の取り組みが始まっているとし、「世界のトレンドとして再生エネルギーは安くなる」と見通した。
沖縄の建設業・観光業での気候変動対策では同法人の大河原優希氏と市川隆志氏が講話。海外や国内の先進事例を紹介し、脱炭素を進める一歩としてサプライチェーン全体の二酸化炭素(CO2)排出量を理解することの重要性を強調した。
(当間詩朗)