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県との公契約、変更可能に 公共事業や委託事業 人件費や資材費の上昇反映 条例の運用規定を見直し 沖縄


県との公契約、変更可能に 公共事業や委託事業 人件費や資材費の上昇反映 条例の運用規定を見直し 沖縄 県庁(資料写真
この記事を書いた人 Avatar photo 島袋 良太

 ここ数年の原材料費や人件費の上昇傾向を受け、県は4日までに、公共事業や委託事業に関して、契約の締結後に請負価格など内容を変更できるよう運用規定を見直した。2018年に施行した県公契約条例の運用を定めた「県の契約に関する取組方針」を今年2月に改定。資材や労務価格の変更が生じた際に受託者と県が「契約変更」を協議する制度を設けた。4月の契約から適用し、年度内に各部局での実施状況も調査する計画だ。

 県内の経済・労働団体や学識経験者などで構成する県契約審議会(平敷徹男会長)の会合で、企業が適正な利潤を確保するためには、積極的な価格転嫁や、上昇した人件費分の反映が必要だという指摘が上がっていた。

 新たに設けた項目は「価格等の変動または変更が生じた場合に、契約変更の必要性について明示的に協議を行う」などと定めている。

 条例を所管する県労働政策課によると、最低賃金の改定が年度途中の10月にあるほか、物価変動のペースが急速になっているため、契約を締結した後の年度途中でも契約変更を協議できる余地を設けたという。

 県と受託者の協議は個別の事情に応じて行う。そのため契約変更の内容はそれぞれ異なり、協議の結果、契約変更をしないこともある。

 県によると、実際に契約変更する場合は追加の予算が生じるため、事業担当部署が補正予算を組むことや、他の予算の流用などが財源調達法として考えられるという。

 県契約審議会での意見は「最低賃金が上昇する場合、連動して賃金が全体的に上昇することが多い」などと指摘し、社会全体の賃上げ傾向への配慮を県に求める声もあった。また公正取引委員会の報告書が、価格転嫁に向けた協議を積極的に設けるよう発注者に求めていることを踏まえ、県が「積極的で明示的に」協議を行うよう求める声もあった。

 県労働政策課の担当者は「事業者等の適正な利益が確保されるようにすることが大事だとの観点で見直した」と説明した。

 (島袋良太)

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