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価格転嫁の実効性が鍵 県発注の「公契約」見直し 締結後に業者と協議 沖縄


価格転嫁の実効性が鍵 県発注の「公契約」見直し 締結後に業者と協議 沖縄 沖縄県庁(資料写真)
この記事を書いた人 Avatar photo 島袋 良太

 物価や人件費の上昇でコスト増が企業利益を圧迫する中、県発注の公共工事や委託事業に関して契約後にも内容を変更できるよう規定が見直されたことで、適正な価格転嫁や賃上げの財源確保に向けて、県が「旗振り役」となることが期待される。

 県は工事の契約締結後に価格変動があれば受託者との間で契約変更に向けた「協議」を行う制度を設けた。ただ実際は既に民間事業で労務費などの価格転嫁が先行している事例も多い。年度始めに「上限」が決まる行政の予算組みの仕組みから、契約変更には課題もある。協議が形だけのものにならないか、実効性が今後の鍵になりそうだ。

 行政機関の予算は毎年の価格水準などを参考に決める労務単価などに基づいて組むが、近年は短期間で物価変動ペースが急激になってきたため、契約締結時と実際の費用水準にずれが生じることもあった。賃上げ圧力に直面する経済・労働団体からも、賃上げの前提となる利益確保のために、高騰する材料費や人件費の変動分を契約に反映する仕組みを求める声が上がっていた。県によると、県と受託者の協議で契約変更することになった場合、県は補正予算を組んだり、他の事業予算を流用したりして充てる方法を想定している。今回の公契約条例の「取組方針」見直しは、県全体の財政規律を担う財政課も加わるワーキングチームで取り組んできた。「適正価格」の審査の妥当性が求められることにもなる。

 (島袋良太)

▼県との公契約、変更可能に 公共事業や委託事業 人件費や資材費の上昇反映 条例の運用規定を見直し 沖縄