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最低限の「法定額」創設 養育費対策、効果疑問も


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 改正民法には、深刻な問題となっている離婚後の養育費の不払い対策も盛り込まれた。最低額の支払いを請求できる「法定養育費」や、優先的に支払いを受けられる措置などを導入。子の成長に必要な経済基盤の確保を目指すが、その効果に疑問の声も上がる。
 厚生労働省の2021年度調査によると、母子世帯で養育費を取り決めた割合は約47%、受け取っている割合は約28%にとどまる。政府は、31年にひとり親世帯の養育費受領率を40%にする目標を掲げており、不払いの解消は急務とされる。
 改正民法は、離婚時に取り決めていなくても、最低限の生活の維持に必要な額の支払いを請求できる「法定養育費」を創設。金額は施行までに法務省令で定める。他の債権よりも優先的に支払いを受けられる「先取特権」も付与。公正証書や裁判所の判断がなくても、相手方の財産の差し押さえが可能となり、回収の実効性が高まる。
 ひとり親家庭や子連れ再婚家庭を支援するNPO法人「M―STEP」(千葉)の平田えり理事長は「養育費を払うのも受け取るのも親の責任であり、支払いを促す考え方は良い」と指摘。一方で「DVなどで居所や口座情報を知られたくない人らも現実的に適用を受けられるのかどうかを、今後も注視していく必要がある」と述べた。