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カスハラ従業員相談27% 厚労省調査 予防・解決に遅れ


カスハラ従業員相談27% 厚労省調査 予防・解決に遅れ ハラスメント相談件数の推移
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 厚生労働省は17日、職場でのハラスメントに関する実態調査を公表した。顧客らが従業員に迷惑行為をする「カスタマーハラスメント」(カスハラ)は27・9%の企業が過去3年間に従業員から相談を受けていた。相談件数の推移でパワハラやセクハラに減少の兆しが見られる中、カスハラは唯一「増加」が「減少」を上回った。予防・解決の取り組みでもカスハラの遅れが目立った。
 厚労省は、カスハラから従業員を守る対策を企業に義務付ける検討に入っている。武見敬三厚生労働相は17日、有識者検討会で対策の議論を進め、今夏に結論を出す方針を明らかにした。
 昨年12月、全国2万5千の企業・団体に依頼し約3割から回答を得た。パワハラとセクハラ、カスハラのほか「妊娠、出産、育児休業」「介護休業」「就活セクハラ」の6種に関し、過去3年の相談件数や増減を尋ねた。企業が相談を受けた割合はパワハラ(64・2%)が最も高く、次いでセクハラ(39・5%)、カスハラの順だった。
 カスハラは過去3年で「増加した」が23・2%となり「減少した」の11・4%を上回った。他はパワハラが増加19・6%に対し減少21・8%、セクハラは11・0%と31・4%など改善に向かいつつある傾向がうかがえた。残る回答は「変わらない」「増減は分からない」だった。
 予防・解決の実施状況はパワハラ95・2%、セクハラ92・7%に対し、カスハラは64・5%にとどまった。カスハラ対策の課題を聞くと「正当なクレームと区別する明確な判断基準設定が困難」が25・9%に及び、3割以上の企業が判定基準を策定していなかった。
 また、2020~22年度に大学などを卒業した元学生らへの就職活動中のセクハラ被害に関する調査結果も公表した。インターン中に30・1%、インターン以外の就活中に31・9%がセクハラにあったと回答。
 具体的には「性的な冗談やからかい」「食事やデートへの執拗(しつよう)な誘い」が多く、リクルーターと面会する際などで被害が目立った。