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じもとHD、国の管理下に 金融庁、議決権63%取得へ


じもとHD、国の管理下に 金融庁、議決権63%取得へ 返済が残る地方銀行の公的資金
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 きらやか銀行(本店・山形市)と仙台銀行を傘下に持つ、じもとホールディングス(HD)=仙台市=が、実質的に国の管理下に入る見通しとなったことが20日分かった。国が議決権の63%を取得する。2024年3月期連結決算の純損益が234億円の大幅な赤字となり無配当に転落するため、公的資金注入に伴って金融庁が持つ優先株に議決権が発生する。
 24年3月期の上場地方銀行決算では、増益となったグループが約7割に上った一方、業績低迷にあえぐ地銀も多い。国によるじもとHDの管理は、景気回復の波に乗れない地域経済の苦境を象徴すると言えそうだ。
 地銀では筑波(茨城県土浦市)、東北(盛岡市)、豊和(大分市)の3行も、まだ同様の公的資金計610億円の返済が残っている。
 じもとHDは4月、経営不振を受け鈴木隆社長と川越浩司会長が引責辞任する方針を発表している。今後、人事などの重要決定は議決権を持つ金融庁が鍵を握る。議決権は6月の株主総会で無配が正式に決まった後に発生する。
 じもとHDは4月、きらやか銀が金融機能強化法に基づいて09年に受けた公的資金200億円の返済が困難として、国と期限の延長を含む協議を始めると発表した。じもとHDの赤字は、きらやか銀が取引先の経営支援に関する費用を積み増したことが原因だ。