止まらない子牛競り価格低迷に農家からは悲鳴が上がる。一大産地の石垣市では、赤字を補填(ほてん)するためダブルワークでしのごうとしても資材価格の高騰もあり、「競りに出しても支出が上回る」と悲痛な声が聞こえてくる。ついに離農する農家も出てきた。
石垣市の繁殖農家、前津大輔さん(41)は約10年前に比べ、倍になったコスト高に頭を抱える。トラクターもかつては1台1千万円ほどだったのが、今では2千万円近くまで跳ね上がっていると嘆く。市内の農家にはタクシー運転手やスーパーで働きながら赤字を埋めるのに苦心している人もいる。
今年に入り、離農に向け、徐々に子牛を手放す農家も出てきている。窮状が続く現状に前津さんは「どこに助けを求めたら良いのか」と憤った。
競り値低迷の要因の一つとして、離島からの輸送費がかかることを上げる農家もいる。
JAおきなわ石垣牛肥育部会は「肥育農家も競りから出荷までの間にコスト高に直面するが、牛肉の価格に転嫁しているわけではなく、消費者への影響はある程度抑えられている」と語り、繁殖農家が飼料代価格高騰のしわ寄せを受ける現状に肩を落とした。
(照屋大哲、新垣若菜)