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県内一の産地、八重山で子牛価格が下落 過去10年で最安 背景に飼料高や輸送費負担 沖縄


県内一の産地、八重山で子牛価格が下落 過去10年で最安 背景に飼料高や輸送費負担 沖縄 牧草を食べる、出荷予定の子牛=21日、石垣市
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 沖縄県内子牛の5月競りは、取引数が最も多い八重山家畜市場(石垣市)の平均価格が同月比で過去10年最も低い41万5938円(速報値)となった。黒島家畜市場(竹富町)でも35万4067円は、過去10年で2番目に低い。それぞれ、前年同月比で約9万円、約13万円減少。県内の子牛価格の減少に歯止めがかからない中、県内一大産地である八重山地域の下落幅の大きさに関係者の懸念は強まっている。

 関係者によると、ロシアによるウクライナ侵攻を背景とした飼料価格の高騰が肥育農家の経費増を引き起こし、競りでの低調な取引につながっているという。さらに県外でここ数年、子牛の頭数が増加傾向で需要が分散しているほか、購買者が負担が増える離島からの輸送を敬遠していることが、価格下落の一因となっている。

 JAおきなわによると、県内市場の5月平均価格は44万1396円で前年同月比7万6122円の減少だった。休みの伊江村と多良間村の市場を除く6市場の中で、黒島が前年同月比で下がり幅が最も大きく、八重山が続く。JAおきなわの担当者は「複合的な理由が重なっている。離島という条件もあり、肥育農家が購買価格を低く抑えているのだろう」と分析する。

 八重山の5月の過去10年で最も販売価格が高かったのは2019年の75万5106円で、黒島も同年の74万3892円。コロナ禍での消費減少による価格減から一時回復傾向にあったが、飼料高騰などが重なり、最高額から約4割落ち込んでいる。

(新垣若菜、照屋大哲)

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