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EU、世界初のAI規制法 作成画像明示 違反に高額制裁


EU、世界初のAI規制法 作成画像明示 違反に高額制裁 EUの人工知能(AI)規制法のポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ブリュッセル共同】欧州連合(EU)加盟国で構成する理事会は21日、対話型人工知能(AI)チャットGPTなど生成AIを含む世界初の包括的なAI規制法案を承認し、同法が成立した。偽情報の拡散防止が狙い。EU内で活動する世界の企業が対象で、大半の規則を2026年から適用する。生成AIで作った画像の明示を義務付け、違反時には世界年間売上高の最大7%か、最大3500万ユーロ(約60億円)のいずれか高い方を制裁金として科す。
 EUはAI規制で世界をリードしており、規制法は各国に影響を与えそうだ。日本政府は4月、AI関連事業者向けのガイドライン(指針)を決めたが、政府や自民党内には海外の動きを念頭に大規模なAI開発者への法規制を模索する動きがある。
 米国と中国は宇宙開発などに加えAI分野でも覇権を争っている。バイデン大統領と習近平国家主席は昨年11月の会談で、AIに関する政府間対話の構築で一致した。
 AI規制法は社会的行動や個人の特徴を基に信用の格付けをするソーシャルスコアリングや宗教、性的指向、人種を利用した分類システムへのAI利用を禁じた。インターネットや監視カメラからの顔画像の無差別収集、職場などでの感情認識技術の利用も禁止した。
 加盟国の捜査当局による生体認証への使用は原則許容しない一方で、テロ対策のほか、人身売買や誘拐事件など特定の犯罪捜査では例外的に使用を認めることになった。
 欧州委員会は21年にAIをリスクの高さによって分類し、リスクに応じて規制する法案を発表した。その後の生成AIの発展を受け、画像がAIで作られたとの明示を企業に義務付ける規制案も加わった。今年3月、欧州議会が規制法案を採択した。
 AIを巡っては国際機関の欧州評議会が今月17日、世界初の国際条約を採択した。