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「日銀 国債購入減」思惑


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 長期金利の指標となる新発10年債の利回りが一時、節目の1%を付けた。歴史的な円安に歯止めがかからないことから、日銀が国債の購入額を本格的に減らすとの思惑が市場に広まり、国債の売りに拍車がかかった。
 植田和男総裁は4月25、26日の金融政策決定会合後の記者会見で円安を強くけん制せず、外国為替市場の円相場は同月29日に一時1ドル=160円台に急落した。日銀が5月13日に発表した国債の購入予定額の減額を巡っては、為替市場は日銀の操作対象ではないものの、市場では円安進行にくぎを刺すためだとの見方が出た。
 ただ、米国の長期金利は4%台で、為替の取引で材料視されている日米の金利差は依然大きい。日本の長期金利が多少上昇しても、円安ドル高の流れを反転させるには力不足だ。
 大手企業を中心に今春闘での賃上げは歴史的な高水準となり、これから給与に反映される見通しだ。だが、円安が要因の一つとなっている物価高はなかなか収束せず、家計のやりくりが楽になるかどうかは見通せない。
 長期金利が上昇基調をたどると、企業が借り入れに伴って支払う金利は増える。設備投資の意欲が弱まり、景気を下押しすることも懸念される。