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メンズメーク、じわり浸透 中高年にも拡大 企業向け講習も


メンズメーク、じわり浸透 中高年にも拡大 企業向け講習も 男性用化粧品の市場規模推移
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 男性向けの化粧、メンズメークが幅広い世代で広がっている。美容への関心が高い若い世代が中心だったが、清潔感や好印象を与える手段として、中高年にも拡大しつつある。資生堂は企業や自治体の男性社員向けに講習会を開催。大切な商談などの際に自信の持てるメークを提案しており、自動車や航空などさまざまな業界からの依頼が相次いでいるという。
 資生堂は3月、アサヒビールなどアサヒグループの20代男性社員を対象に、男性向けメークの講座を開いた。参加者は化粧を通じてどのような自分になりたいかをイメージし、肌をきれいに見せたり、印象的な目元をつくったりするメークを実践した。
 眉毛を描き、アイラインを引くなど初めての経験に試行錯誤しながら鏡の中の自分と向き合う。飲料事業で営業戦略を策定する荒井悠太さん(28)は「企画の発表など、気合を入れたい時にやってみたい」と語った。
 資生堂は企業や自治体職員を対象にした同様の講座を昨年7月に始め、3月までに15回開催した。資生堂の担当者は「経験することで、スキンケアなど日々の過ごし方が変わってくる」と説明する。
 男性用化粧品市場は拡大が続いている。調査会社インテージによると、男性用化粧品市場は2023年に433億円と17年比で約1・7倍となった。新型コロナウイルス禍でオンライン会議が増え、自身の姿を確認する機会が多くなったことが契機とみられる。40、50代でも購入金額が約1・5倍に増加するなど、中高年層でも美容への関心は高まっているという。
 資生堂は昨年11月、男性用スキンケアブランド「SHISEIDO MEN」の広告に俳優の反町隆史さん(50)と、妻で俳優の松嶋菜々子さん(50)を起用した。幅広い世代を取り込み、CM放映開始から3月上旬までの売上高は前年同期比で約6割増加したという。購買者の半数は女性が占め、パートナーも鍵を握る。
 サントリーホールディングス傘下のサントリーウエルネスも22年に40代以上の男性向けスキンケア商品「VARON(ヴァロン)」を発売。化粧水や乳液の機能を一つにまとめた手軽さがスキンケア初心者を捉え、2年で累計売上高が40億円を突破するなど、当初の目標を大幅に上回った。
 担当者は「中高年層のスキンケア未経験男性は約7割存在しているため、潜在的な市場はまだまだ大きい」と話した。