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公取委 荷主企業へ初の立ち入り 運送業者に代金不払いか 「24年問題」を警戒


公取委 荷主企業へ初の立ち入り 運送業者に代金不払いか 「24年問題」を警戒 「橋本総業」が入るビル=11日午後、東京都中央区
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 商品の配送を委託した運送業者に時間外労働賃金分の代金を支払わなかったなどとして、公正取引委員会は11日、独禁法違反(優越的地位の乱用)の疑いで、住宅設備機器販売業「橋本総業」に立ち入り検査した。関係者への取材で分かった。荷主と運送業者の取引は同法の「物流特殊指定」で規定され、理由のない代金の減額や支払い遅れを禁じている。同指定に基づき、公取委が法的な強制力を伴う検査を行ったのは初めて。
 トラック運転手の残業規制による人手不足で物流の停滞が生じる「2024年問題」が懸念される中、警戒を強める公取委が、代金を適切に支払っていなかった悪質な荷主への検査に踏み切った形だ。関係者によると、橋本総業はメーカーから仕入れた管工機材や住宅設備機器などの荷積みや、販売店への配送を、複数の運送業者に委託。運送業者に時間外労働賃金分の代金を支払わなかったほか、事前に取り決めていた運送代金から「割戻金」名目で減額していた疑いもある。
 公取委は、荷主と運送業者の間で適正な取引が行われているかどうかに関する調査を継続的に実施。独禁法違反につながる恐れのある行為を確認した場合、荷主に注意喚起の文書を送付するなど改善を求めている。
 橋本総業による運送業者への不当な扱いは長年の慣行になっていたとみられ、公取委は違反行為が始まった時期や経緯も調べる。違反行為は関東地域を中心に確認され、公取委は東京都中央区の本社と関東地域の配送センター、支店計4カ所に入った。親会社の橋本総業ホールディングスは「公取委の検査に全面的に協力する」とコメントした。