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SNS投資詐欺 対策強化 政府 著名人成り済まし急増で 広告審査 厳格化を要請


SNS投資詐欺 対策強化 政府 著名人成り済まし急増で 広告審査 厳格化を要請 SNS型投資詐欺の被害額の推移
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府は18日、交流サイト(SNS)を通じた投資詐欺の急増を受け、首相官邸で犯罪対策閣僚会議を開き、被害防止に向けた総合対策を決定した。著名人に成り済まして投資に誘う詐欺広告への対策として、SNS事業者に広告の事前審査の強化を要請することが柱。広告主の本人確認を強化するほか、詐欺広告の削除要請への迅速な対応を求めることを盛り込み、被害の阻止を目指す。
 警察庁によると、1~4月に全国の警察が認知したSNS上の成り済まし詐欺は被害総額が約334億3千万円に上り、前年同期比で約294億6千万円増加。実業家の堀江貴文氏や衣料品販売大手ZOZO(ゾゾ)創業者の前沢友作氏、ジャーナリスト池上彰さんら、著名人の画像を無断で使用した詐欺広告が社会問題となっている。
 政府が決めたのは「国民を詐欺から守るための総合対策」。岸田文雄首相は会議で「偽広告への対策を抜本的に強化する」と述べたが、事業者への強制力を伴わず、実効性には疑問符が付く。
 対策では、SNS事業者に広告の事前審査基準の策定や公表を要請。被害の多くが通信アプリのグループチャットで発生しているため、閉鎖的な場に誘導する広告は原則掲載しないよう求めた。
 フェイスブックを運営する米IT大手メタなど海外のプラットフォーム事業者を念頭に、審査体制整備のため、日本語や日本文化を理解する人員配置を要求。捜査機関からの照会に対応する窓口を設置し、照会方法を合理化することを求めた。
 偽サイトに誘導して金銭をだまし取る「フィッシング詐欺」の被害も急増しており、サイトの閉鎖を促進。SNS上で強盗や特殊詐欺の実行犯を募る「闇バイト」の取り締まりや、高齢者のATMでの振込額を少額とする制度化も盛り込んだ。