ＪＡＸＡにサイバー攻撃　防衛省の情報も流出か

　宇宙航空研究開発機構（ＪＡＸＡ）が昨年から複数回のサイバー攻撃を受け情報が流出したことが２１日、関係者への取材で分かった。昨年６月に内部ネットワークに侵入されたことをきっかけに、大量の文書ファイルが不正閲覧されており、関連企業や外部の研究機関、防衛省などの情報も漏えいした可能性がある。
　昨年秋に警察からの通報で被害を把握し、ＪＡＸＡが内部調査を進めていた。攻撃は今年に入っても続いており、ＪＡＸＡは政府に報告した上で、対策を取った。ＪＡＸＡは「調査中。対策をより強化していく」として、詳細を明らかにしていない。関係者によると、中国系ハッカーの攻撃とみられる。
　林芳正官房長官は２１日の記者会見で「不正アクセスがあったネットワークでは、ロケットや衛星の運用などの機微な情報は扱われていない」と説明。安全保障に関わる情報も含まれておらず、木原稔防衛相は「現時点で防衛省の業務に特段の支障はない」と強調した。
　関係者によると、昨年６月、内部ネットワークに接続する仮想専用線（ＶＰＮ）の脆弱（ぜいじゃく）な部分を突かれサーバーに侵入された。職員情報を基にクラウドサービス「マイクロソフト３６５」に不正アクセスされ、秘密保持契約を結ぶ企業の文書が閲覧された恐れもある。