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財政新目標 具体化見送り 政府、骨太方針を決定


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府は21日、経済財政運営の指針「骨太方針」と成長戦略「新しい資本主義実行計画」を閣議決定した。金融政策の正常化で財政運営が難しくなる懸念が高まる中、基礎的財政収支(プライマリーバランス)を2025年度に黒字化する現行の目標を堅持した一方、26年度以降の具体的な黒字化の目標は見送った。
 人口減少社会を見据え、国内総生産(GDP)の実質成長率が1%超で推移する経済を30年代以降のあるべき姿として提示した。生産性向上や高齢者の就労拡大など課題は多い。
 岸田文雄首相は閣議決定に先立つ政府会合で「人口減少が加速する30年度までが経済構造変革のラストチャンスだ」と述べた。
 日銀の政策変更で、国の借金である国債の利払い費増が意識されている。骨太方針では30年度までの財政健全化の計画を提示。焦点となっていた26年度以降は「取り組みの成果を後戻りさせない」とするにとどまった。
 将来的にGDPの実質成長率を1%超で安定させることで、600兆円弱の名目GDPが40年ごろに1千兆円程度まで増えるとの見通しを提示。生産性を欧米並みに引き上げることや、高齢者や女性の就労を増やすことを掲げた。ただ、直近の3年間は成長率が1%を超えて推移しているものの、今後本格化する人口減少が成長を下押しするため、実現は見通せない。このほか、物価高に負けない賃上げを定着させ、デフレからの完全脱却を実現する考えを盛り込んだ。最低賃金の全国平均時給を30年代半ばまでに1500円に引き上げる目標の前倒しに取り組むとした。
 成長戦略では雇用の7割を占める中小企業向けの賃上げ対策の強化を打ち出した。下請法の運用厳格化や改正で中小企業が人件費を取引価格に転嫁しやすくする。