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生成AI、電力消費急増 NTT、SBGが節電投資


生成AI、電力消費急増 NTT、SBGが節電投資 液体でサーバーを冷却するNTTコミュニケーションズの設備
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 生成人工知能(AI)の普及で、世界の電力消費が急増するとの見方が強まっている。AIの学習のため、データセンターの電力需要が爆発的に増えるためだ。「人間が使う電気をAIに奪われる」(IT大手)との懸念もあり、NTTは電力消費を抑えたデータセンターやAI、ソフトバンクグループ(SBG)の傘下企業は省電力の半導体開発に投資している。
 科学技術振興機構(JST)は、世界のデータセンターの電力消費が2018年の190テラワット時から、30年に3千テラワット時、50年には50万4千テラワット時と急激に増加する推計を21年にまとめている。
 国際エネルギー機関(IEA)は今年1月、26年に世界のデータセンターの電力需要が、日本全体の電力消費量に匹敵する水準まで増える可能性があると公表。全国の電力会社が加盟する「電力広域的運営推進機関」も1月、24年度以降に国内の需要電力が増加に転じる予想を公開した。
 NTTコミュニケーションズは5月、液体でサーバーを冷却し、空調に比べ電力を約30%節約できるデータセンターを、25年3月に国内で初めて商用化すると発表した。横浜市と大阪府茨木市を皮切りに、26年には京都府精華町でも稼働。同社幹部は「電力不足はAIの進化の制約になり得る」として、対策を強化する。
 NTTグループが3月に商用化した自社開発の生成AI「tsuzumi(鼓)」でも、先行する米オープンAIの「チャットGPT」に比べ大幅に消費電力を抑えた。
 SBG傘下で半導体設計の有力企業、英アームは電力効率の良い半導体を開発。SBGの後藤芳光最高財務責任者(CFO)は5月の記者会見で、AIの進展に向け「アームの省電力性能は非常に価値がある」と強調した。
 SBGの孫正義会長兼社長は6月の株主総会で「人類の1万倍の英知のASI(人工超知能)が10年以内に生まれる」と述べた。
 急速なAIの進歩に合わせた電力の確保は大きな課題となる。