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三菱UFJ3社 改善命令 情報無断共有、競争を阻害


三菱UFJ3社 改善命令 情報無断共有、競争を阻害 三菱UFJ銀行を傘下に持つ三菱UFJフィナンシャル・グループ本社=7日、東京都千代田区
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 金融庁は24日、顧客企業の未公開情報をグループ内で無断共有したとして、三菱UFJ銀行と系列の証券会社2社に業務改善命令を出した。金融商品取引法が定める「ファイアウオール規制」に違反し、公正な競争を阻害したと認定した。国内金融最大手グループの行政処分で、業界の信頼低下は必至だ。官民一体で醸成している資産運用立国に向けた機運にも水を差しかねない。
 証券2社は三菱UFJモルガン・スタンレー証券とモルガン・スタンレーMUFG証券。3社は経営陣を含め責任の所在を明確化する。情報管理の強化など再発防止策をまとめた改善計画を7月24日までに提出する。
 金融庁は、親会社の三菱UFJフィナンシャル・グループに対する行政処分は見送り、原因の詳しい分析や資料の提出を求める報告徴求命令を出した。銀行と証券の事業連携に向けた規制緩和を踏まえて体制整備を一定程度進めてきた点を考慮した。報告徴求は銀行法に基づく措置で、内部管理態勢の強化を求めた。同グループは「心よりおわびする」とのコメントを出した。今後、社内処分を検討する。
 鈴木俊一金融担当相は記者団に「重く受け止め、抜本的な改善対応に取り組んでもらいたい」と述べた。
 金融庁によると、三菱UFJ銀は2021~23年に顧客企業9社に関する計10件の情報を共有した。系列証券を株式売り出し時の主幹事にするため、企業側が拒否していたにもかかわらず、銀行の役員が証券の副社長に売り出しの金額や時期を漏らした。社債発行を巡って系列証券を主幹事にするよう企業側と交渉し、禁じられている有価証券関連業務をした事例も認められた。
 同グループは銀行と証券の一体運営による収益拡大を目指してきた。金融庁は独立系証券との競争条件を巡り、三菱UFJ銀行が融資する立場を使って顧客に系列証券との契約を迫るといった優越的地位の乱用は認定しなかった。証券取引等監視委員会は今月14日に行政処分を出すよう金融庁に勧告していた。