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日銀 追加利上げ言及 今月会合 「遅きに失せずに」


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 日銀が今月13、14日に開いた金融政策決定会合で、一部の政策委員が外国為替市場での円安進行を受けて物価に「上振れリスクも出てきている」として「遅きに失することなく、適時に金利を引き上げることが必要だ」と追加利上げに言及していたことが24日、分かった。月間6兆円規模とする国債の購入を減らす方針を決めたが、実際に減額する際は市場との対話を重視し、慎重に進めるべきだとの主張が相次いだ。日銀が政策委員の「主な意見」を公表した。
 追加利上げを巡っては、個人消費が盛り上がりを欠くことや、認証不正問題に伴う自動車大手の生産停止の影響を踏まえ「現在の金融緩和継続が適当だ」と指摘する声もあった。「消費者物価が明確に反転上昇する動きなどを確認してからで良い」との主張もあった。
 植田和男総裁は14日の会合後に記者会見し、経済や物価の情勢次第で次回の7月会合での追加利上げが「当然あり得る」と強調した。ただ7月会合では国債の減額の規模やペースといった具体策を示す予定で、市場への影響が大きい利上げを同時に決めることは難しいとの見方も市場に多い。
 日銀は大規模な金融緩和策で大量の国債を購入し、国の発行残高の過半となる約600兆円の国債を保有している。日銀が購入額を減らせば債券市場への影響が大きく、ある委員は減額の規模などについて「市場との対話も含め、ある程度の時間をかけて慎重に検討すべきだ」と述べた。
 「市場参加者の見方を確認するプロセスを踏んだ方が、規模の削減ができる」と発言した委員もいた。植田氏は14日の会見で、減額は「相応の規模になる」と説明した。
 6月会合には植田氏と副総裁2人、審議委員6人の計9人の政策委員が出席。会合では政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を現行の0~0・1%程度に維持することも決めた。