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電力9社 脱原発案否決 能登地震受け 株主総会提案相次ぐ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 沖縄電力を除く大手電力会社9社は26日、株主総会を一斉に開いた。1月の能登半島地震を受け、株主からは原発の再稼働中止や廃炉など脱原発を求める提案が相次いだが、各社は原発が電力の安定供給や脱炭素につながると主張して反対。9社とも全ての株主提案を否決し総会は終了した。
 北陸電力の総会では能登地震で一部の施設が損傷した志賀原発(石川県志賀町)に対し、株主から安全性を疑問視する声が相次いだ。志賀原発の廃炉を求める議案は反対多数で否決。北陸電は「今回の地震の知見を反映し、(再稼働に向けた)審査に的確に対応していく」とした。
 新潟県の柏崎刈羽原発の再稼働を目指す東京電力ホールディングスも廃炉や十分な避難路の確保を求める提案を受けた。小早川智明社長は「安全確保を最優先に一つ一つの取り組みを着実に実施する」と理解を求めた。
 一方、九州電力には脱原発の提案と同時に、脱炭素に必要だとして原発の増設を求める提案があった。各社ではその他、再生可能エネルギーの導入拡大や、電気料金抑制に向けたコスト削減の提案が出されたが、いずれも否決された。
 総会では不祥事に関しても経営トップが発言。中部電力の林欣吾社長は、東邦ガスと受注調整をしたとして3月に独禁法違反で課徴金納付命令を受けた問題で「心よりおわびする」と謝罪した。
 関西電力の榊原定征会長は、新電力の顧客情報を不正閲覧した問題に関し「業務改善は全社的に進んでいる」と述べた。