有料

匿流摘発、全国824人 4~6月 警察白書「重大な脅威」


匿流摘発、全国824人 4~6月 警察白書「重大な脅威」 「匿名・流動型犯罪グループ(匿流)」を特集した2024年版の警察白書
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 警察庁は26日、交流サイト(SNS)などで緩やかにつながり活動する「匿名・流動型犯罪グループ(匿流)」の動向や対策を特集した2024年版の警察白書を公表した。これに併せ、全国で4~6月、詐欺など主な資金獲得犯罪に関わった容疑で摘発したメンバーは824人(暫定値)だったとも明らかにした。
「ルフィ」などと名乗る指示役による広域強盗事件で注目が集まった匿流に特化した摘発人数を統計としてまとめたのは初。警察庁は治安上の「重大な脅威」と捉え対策を進める。
 匿流は特殊詐欺や強盗などの犯罪ごとに離合集散し、通信アプリ「テレグラム」など匿名性の高い通信手段を使うのが特徴。暴力団に比べ、指示役など上位の容疑者の特定が難しい。多額の借金を背負った女性客に売春などをさせる悪質ホストクラブの背後で利益を得ている可能性も指摘されるなど、活動の幅を広げているとみられている。
 摘発された824人のうち、詐欺が452人で最多。窃盗163人、薬物事犯138人、強盗54人、風営法違反17人だった。SNS上の闇バイト募集を通じて犯行に関与したのは254人で、全体の約3割を占めた。
 白書は、匿流の勢力拡大は全国的な傾向と指摘。「第一線」の現場の声として、警察官が仮の身分で捜査対象者と接触する「仮装身分捜査」など新たな手法の導入を求める意見も紹介した。特殊詐欺対策としては、高齢者の自宅への電話を阻止する方法や、特殊詐欺での利用が急増している国際電話の発着信を停止するサービスがあることなどを記載した。
 能登半島地震被災地での救助やパトロール活動、義援金名目詐欺などへの注意啓発活動もまとめた。

 匿名・流動型犯罪グループ 交流サイト(SNS)などを通じて犯罪ごとに離合集散し、匿名性の高い通信アプリなどで連絡を取って犯行に及ぶ。メンバー間でも互いの素性を知らないこともあり、指示役などが特定しにくい。SNS上の「闇バイト」募集を通じて、若年層が実行役として加担するケースも目立つ。主な資金獲得犯罪は特殊詐欺や強盗、薬物事犯など。「ルフィ」らを名乗る指示役による広域強盗事件で注目が集まった。