やまゆり園　犠牲者に祈り　殺傷事件８年　追悼式「ずっと一緒」

　相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で２０１６年、入所者１９人が殺害され、職員２人を含む２６人が重軽傷を負った事件から８年となった２６日、園で追悼式が開かれた。永井清光園長（５４）があいさつし「いまも皆さんの笑顔は心の中で生き続けています。これからもずっと一緒です」としのんだ。
　式では参列した遺族らが黙とう。事件前から入所している奥津ゆかりさん（５５）は「これからも天国からやまゆり園のみんなのことを見守ってください」と語りかけた。神奈川県の黒岩祐治知事らも出席した。
　酷暑の中、園には多くの人が訪れ、献花台には色とりどりの花が手向けられた。犠牲となった美帆さん＝当時（１９）＝の母親（６０）がひまわりをささげ「園に来るとあの日のことを思い出して苦しい。ずっと忘れられない」と寂しそうに話した。当時入所して重傷を負った尾野一矢さん（５１）も献花し、付き添った父剛志さん（８０）は「障害者を理解してもらうためにもっと声を上げたい」と話した。
　近くの公民館では「犠牲者をしのぶ会」が開かれ、やまゆり園の元職員で市民団体「共に生きる社会を考える会」の太田顕共同代表（８１）が「事件を忘れず、風化させない。後世に伝えることが大事だ」と訴えた。
　現場となった当時の建物は取り壊され、２１年に神奈川県が居住棟などを再建した。事件を風化させないため、園前の交流広場には、献花台や二度と事件を起こしてはいけないとの決意が記された鎮魂の碑で構成するモニュメントを設置。献花台には、遺族が同意した１０人の名前が刻まれている。現在、園には５５人が入所している。
　事件で起訴された元職員の植松聖死刑囚（３４）は死刑判決が確定している。公判では、一貫して障害者に対する差別的な発言を繰り返した。