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高温 農作物を直撃 サクランボ、梅 不作見通し 消費者ら値上げ懸念


高温 農作物を直撃 サクランボ、梅 不作見通し 消費者ら値上げ懸念 農産物への高温影響の例
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 高温による農産物や農作業への影響が深刻化している。今年はサクランボが不作となる見通しで、梅も収穫量が大幅に落ち込んだ。消費者にとっては商品価格の値上げが懸念される。さらに、農作業中の熱中症の死者は7~8月が多く、猛暑が襲う中で、農林水産省は水分を補給し単独での作業を避けるなどの対策を呼びかけている。
 農産物には昨年、記録的な高温による影響が広がった。2023年産米の一部でコメ粒が白く濁る「白未熟粒(しろみじゅくりゅう)」が発生したほか、リンゴやトマト、タマネギといった果樹や野菜の収穫に響いた。今年も猛暑が始まっており、農水省は品目ごとの対策を促している。
 しかし、すでに影響が出ている果樹もある。農水省によると、サクランボは収穫量が減少し、気温が高かった影響で実がくっつく「双子果(ふたごか)」が多く発生。通常であれば規格外のため出荷しないところ、一大産地の山形県では特別に出荷する対応を取った。暑さが続いたため、木になった状態で熟し過ぎるなど収穫のロスも多いという。
 山形県は既にサクランボの収穫期は終わっているが、今週の記録的な大雨で他の作物への影響が懸念される。
 暖冬も関係している。全国のスーパーで産直コーナーを運営する農業総合研究所によると、梅は歴史的不作で、5月の収穫量は前年同月比で44%減った。大幅な供給不足で今後梅干しの価格が徐々に上がっていくとの見通しを示す。
 暖冬で一大産地の和歌山県では主力品種が早く開花したため、受粉を担うミツバチが十分に活動できなかった。春先には越冬した大量のカメムシが実の汁を吸う被害も出た。梅干しなどの製造販売を手がける「うめひかり」(和歌山県みなべ町)の担当者は「梅が入手できない梅干しメーカーもある」と話す。
 一方、農水省の最新の統計によると農作業中の死亡事故は22年に238人で、熱中症は29人と全体の12・2%を占めた。17年に比べて7人増加した。農水省は、死者の割合は高齢者が高いとして、注意喚起している。