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沖縄の課題、経営者団体としてどう取り組む?「変化に柔軟な人材育てる」 県経営者協会会長・宮城茂氏<焦点インタビュー>


沖縄の課題、経営者団体としてどう取り組む?「変化に柔軟な人材育てる」 県経営者協会会長・宮城茂氏<焦点インタビュー> 記者の質問に答える県経営者協会の宮城茂会長=30日、那覇市の沖縄産業支援センター(喜瀨守昭撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 県経営者協会の13代目会長に宮城茂氏(72)=琉球海運会長=が就任した。各産業が人手不足や原材料価格の高騰といった課題に直面する中、どう経営者団体として取り組んでいくか。県経済の長期的展望や、企業経営に必要な視点についても話を聞いた。

 ―就任の抱負は。

 「歴史ある組織で13代目の会長に就任した。重責を感じ、身が引き締まる思いだ。当面は会員企業の実情を把握し、共通の課題を見付け、必要であれば他の団体や県、国とも連携していきたい」

 ―県経済の現状や可能性をどう認識している。

 「新型コロナが5類に移行し、経済活動が本格化している。リーディング産業の観光も軌道に乗ってきたが、その中で人手不足、賃上げの問題、価格転嫁の問題が出てきており、改善に取り組んでいきたい。長期的視野では那覇空港の機能拡張と米軍基地の返還跡地の一体的開発を目指す『GW 2050 PROJECTS』を経済界で推し進めている。協会でも取り組んでいきたい」

 ―賃上げに関する社会的要請と同時に、経営者としては原材料費や人件費高騰などと板挟みの状況もある。どう臨む。

 「板挟みとは思っていない。企業の持続的発展に乗り越えていかなければいけない課題だ。賃上げは社会的な要請だ。同時に価格転嫁も進めないといけない。価格転嫁は製造業では比較的進んでいるが、BtoC(消費者向け取引)ではなかなか進んでいない。適切な価格転嫁ができるよう経済団体として声を上げていきたい」

 「同時に個々の企業の生産性向上にも取り組む必要がある。デジタル化やテクノロジーも進化した。長くデフレの時代が続いた結果、日本の給与水準も国際比較で落ちてきた。適正な成長と分配をしていくことが求められている」

 ―人手不足問題にはどう対応する。

 「DX化による省人化の取り組みもある。またシニア、女性、障がい者、外国人など多様な人材の活躍を後押しする、人材の掘り起こしが必要になる。沖縄は歴史的にも文化的にも外国人を受け入れやすいと思う。沖縄ならではの人手不足対策をしていきたい」

 ―経営人材の育成は。

 「一番大切なところだ。勉強会やセミナー、部会や毎月の例会など各種活動に取り組んできた。今はものすごく時代が動いている。デジタル化、技術の進歩、環境問題やサステナブル社会の構築、人口動態やグローバル化、地政学リスク、社会全体がどんどん変化している。そういう中で社会の変化に柔軟に対応できる経営者を育てていきたい。企業が社会にいかに価値を提供するか、企業の価値も変えていかないといけない」

 ―経営者に必要なことは。

 「一言で言うと挑戦、時代に合った挑戦ができることだ。時代の潮流に合わせて会社を変えていくことだ」

 (聞き手・島袋良太)