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もろみ酢で「腫瘍抑制」向上 モズク抽出フコイダン クレイ沖縄が特許、商品低価格化可能に


もろみ酢で「腫瘍抑制」向上 モズク抽出フコイダン クレイ沖縄が特許、商品低価格化可能に 「フコイダン」に関する特許を取得したクレイ沖縄の渡嘉敷哲社長(中央)とフコイダンを製造するサウスプロダクトの友利誠常務(右)、福島特許事務所の西平守秀代表(左)=18日、県庁
この記事を書いた人 Avatar photo 新垣 若菜

 健康食品開発のクレイ沖縄(那覇市、渡嘉敷哲社長)などは沖縄モズクから抽出される「フコイダン」にもろみ酢を加えることで、腫瘍増殖の抑制力が高まることを発見した。この効果が認められ製法と物質が7月に特許登録された。フコイダンの容量を減らしても高い効能が得られるとして、従来より価格帯を抑えた商品化が実現できることから、フコイダンのさらなる普及を目指し、同社は年末までに新たな商品開発に取り組む。

 フコイダンはモズクやワカメ、コンブなどに含まれる水溶性植物繊維の一種で、免疫活性化や抗腫瘍効果、血圧降下作用などの働きがあることが多くの研究で確認されている。

 1990年代に琉球大学の研究グループによって、沖縄モズクにはコンブの約6倍、ワカメの約17倍のフコイダンが含有されていることが示された。一方で、モズク100グラムあたり1グラムしか抽出できないため、開発商品の価格が高額となることが課題だった。

 クレイ沖縄は2012年から琉球大学と共同研究を進め、フコイダンに沖縄もろみ酢濃縮粉末(同社が09年に特許取得)を配合することで、腫瘍の増殖率をより低減させることが判明したという。動物試験などを経て、フコイダンともろみ酢の1対1の混合で、本来のフコイダンよりも6倍の抑制力があることを実証し、今回の特許に至った。

 商品化に向けてフコイダン製造のサウスプロダクト(うるま市)、金秀バイオ(糸満市)、ホクガン(糸満市)や県漁業協同組合連合会と「フコイダン普及協力会」を今年1月に発足。今後販路拡大や価値向上、適正価格の実現を見据える。

 18日に県庁で記者会見を開いたクレイ沖縄の渡嘉敷社長は「フコイダンの可能性は大きい。関係機関と一体となって認知や価値の向上に努め、多くの人の手に渡るようにしたい」と語った。

 (新垣若菜)