「養蜂家の動画ばかり見ている」 大学で養蜂がアツい、環境学ぶ機会に 職員や学生がチャレンジ 沖縄大と琉球大


「養蜂家の動画ばかり見ている」 大学で養蜂がアツい、環境学ぶ機会に 職員や学生がチャレンジ 沖縄大と琉球大 新垣伝さん(左端)が巣箱から取り出した板を見て驚く学生ら=20日、那覇市の沖縄大学
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 沖縄大学と琉球大学はそれぞれ、職員や学生が中心となって養蜂にチャレンジしている。「自然環境を考えるきっかけになっている」「養蜂を学ぶ場を増やしたい」。活動がさらに活発化する様子もある両大学を取材した。

<沖縄大学>環境学ぶ機会に

ミツバチを飼育して採取したハチミツ「OKIDAI HONEY」

 那覇市国場にある沖縄大学。本館の屋上に2022年8月、巣箱が一つ設置された。「養蜂を通して自然環境を体験的に学べるのでは」という意図で、大学職員が提案したことがきっかけ。今月20日には3回目のハチミツ採取があり、職員と学生が一緒に「OKIDAI HONEY」を味わいながら周辺の自然環境を語り合った。

 採取したハチミツは寄付への返礼品としている。販売予定はない。巣箱の管理は首里の新垣養蜂園の新垣伝(つとお)さん(39)に依頼している。

 3回目の採取日。学生や職員、山代寛学長が、巣箱のある屋上に駆け付けた。学生の中には「養蜂家の動画ばかり見ている」という内間樹里愛さん(20)=経法商学部2年=もいて、ハチに刺されないよう離れた場所からじっと新垣さんの作業を見詰めた。

 新垣さんが巣箱から取り出した板にはハチがビッシリついていた。目をこらすと、無数の穴にキラリと光るハチミツが見える。ハチを取り除いて板を遠心機にかけると、とろりと蜜が出てきて周囲に甘い香りが広がった。新垣さんによると、ハチは巣箱から半径2キロ圏内の植物から花粉を集める。学生たちは「もっと大学に花を植えたら、ハチも集めやすいかな」など、大学の緑化環境について話し合った。

 養蜂動画好きの内間さんは「動画で見ていただけで、初めて採取する場面を生で見た。とってもおいしい。夢がかなった」と満面の笑みを浮かべた。同学部3年の島袋紗吏奈さん(21)も「前回のハチミツも試食した。少し酸味があって、今回もおいしい」と喜んだ。

 (嘉数陽)

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<琉球大学>サークル設立「お土産に」

養蜂などに関心がある学生の学びの場「琉大ハニー養蜂部」のメンバーら=26日、西原町の琉球大学

 琉球大学では、養蜂やミツバチの生態などに関心がある学生の学びの場として、9月下旬に「琉大ハニー養蜂部」を立ち上げた。メンバーは現在10人程度で、農学部の敷地内に置いた巣箱の管理などミツバチの飼育に加え、メンバー集めに取り組んでいる。

 同学では2018年、農学を実践的に学ぶ学生団体がマンゴーの受粉用にと、地元養蜂家から巣箱を譲り受けたことを機に、農学部の関根健太郎准教授と学生がミツバチを世話している。20年には採取したハチミツから「琉大ハニーグラノーラ」を開発。しかし、学生の入れ替わりなどで継続的な活動に課題があったことから、養蜂に特化したサークルを立ち上げた。農学部だけでなく他学部や他大学の学生も加わった。

 養蜂部代表で農学部4年の佐藤隆ノ介さん(23)は「ハチミツやグラノーラを琉大のお土産となるブランドに確立したい。養蜂を通じて学びも深めたい」と意欲を示す。顧問の関根准教授は「大学として、沖縄で養蜂業を盛り上げたり、沖縄に合ったハチミツ生産の仕方を見つけたりと研究対象にもつなげたい」と意気込む。

 現在、大学公式サークルの申請のためにメンバーを募集している。また、地域の養蜂家とつながり、支援者を募るためクラウドファンディングを実施している。CFサイトは「for Good!」。

 (高橋夏帆)