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戦争の心の痛み消えない 伊江・西小で平和集会 村出身・山城さんが思い


戦争の心の痛み消えない 伊江・西小で平和集会 村出身・山城さんが思い 平和集会で朗読をした山城康子さん(前列右から3人目)ら講師3人と西小学校6年生の児童ら=11月14日、伊江村の西小学校地域連携室
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 【伊江】戦争の歴史を学習する平和集会が11月14日、西小学校(赤嶺美奈子校長)の地域連携室で開かれた。同校の6年生が参加した。伊江村出身者の南洋地域での戦争体験を知ることで平和教育の充実を図り、世界恒久平和の実現に向けて考えることができる児童の育成が目的。講師は戦争体験者の山城康子さんと西小学校元教頭の玉城睦子さん、「あっきーな」でおなじみのタレント・渡久地明奈さんの3人。

 3人の講師は、1975年に出版された「捕虜になるまで 先生のとっておきの話〈3〉」に収められている山城さんの戦争体験記「悲しみのミンダナオ島」を朗読した。

 山城さんは10歳の頃、一家で南洋諸島へ移住した。戦争の激化により日本に疎開する軍艦に乗り込んだが、船が魚雷にかすり動けなくなったため、フィリピンのミンダナオ島で降ろされた。ミンダナオ島でフィリピン人の襲撃を受け姉を亡くすなど、密林の中を逃げ惑う様子を朗読を通して伝えた。3人の迫真の朗読に子どもたちは真剣に聞き入った。

 山城さんは「戦争は多くの人の命を木っ端みじんに砕く。心が痛くて悲しい。その心の痛みはいつまでも消えない」と話し、「戦争は今もあちらこちらで起こっている。ニュースを見るたびに戦争の悲惨さを伝えないといけないという思いが強くなった。皆さんにお話しできて良かった」と思いを伝えた。

 参加した同小6年生の大城萌恵さんは「日本だけでなく外国でも戦争をしていたと聞いて驚いた。1日1食トウモロコシだけと聞いて戦争は体験したくないと思った」と語った。

 蔵下紗愛來さんも「学習発表会で平和劇『にげるは生きる』を発表する。今日の話を聞いて感じたことも含めて演じたい」と述べた。

(知念光江通信員)