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ガジュマルが楽器コカリナに 伊江 黒坂・矢口さん 伊江小・西小に寄贈 「ニーバンガズィマール」から制作


ガジュマルが楽器コカリナに 伊江 黒坂・矢口さん 伊江小・西小に寄贈 「ニーバンガズィマール」から制作 黒坂黒太郎さん(右)と妻の矢口周美さんの演奏会=21日、伊江村立西小学校体育館
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 【伊江】コカリナ奏者の黒坂黒太郎さんと妻の矢口周美さん=東京都在住=による演奏会が21日、伊江村の西小学校体育館で開かれた。西小と伊江小の5年生が参加し澄んだコカリナの音色を楽しんだ。また、伊江小学校と西小学校の5年生に今年8月に倒れた「ニーバンガズィマール」の枝で作ったコカリナをプレゼントし、吹き方を指導した。

 黒坂さんは、沖縄戦の後、敗戦を知らず伊江村内にあるガジュマルの上で生活した2人の日本兵の実話を基に、作家の井上ひさしさんが原案をつくった演劇『木の上の軍隊』を見た経験を踏まえ「あのガジュマルの木を見てみたいと思っていた」と言う。黒坂さんは台風6号の暴風でガジュマルが倒れたことを報道で知った。そのあと、伊江島へ渡り、樹木の管理をしている同村の宮城孝雄さんに会ったという。

 この木の枝でコカリナを作りそれを通して「後世にガジュマルを残したいと宮城さんに伝えた」と経緯を話した。

 宮城さんは「このガジュマルで本当に楽器ができるのか不安もあったが、黒坂さんから贈られたコカリナは細やかな木目で、吹いてみたら透き通った音色を奏でた」と話す。

 ガジュマルに身を隠し生き残った佐次田秀順さんの次男、満さんも来島。コカリナの響きに感動し「この木がなかったら父も私の命もなかった。この木からこんなすてきな楽器ができて感動している。世界平和の活動になるよう色んな所で平和な響きを奏でてほしい」と話した。

 児童を代表し、西小6年生島袋世海さんは「黒坂さん、矢口さんの演奏を聞いて動物や景色が想像できて楽しかった」、西小5年の具志川愛沙妃さんと伊江小5年の當銘春樹さんは「コカリナを吹けるようになってうれしかった。難しい曲にチャレンジしたい」と感想を述べた。

(知念光江通信員)