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<ひと>沖縄国際大学の学長に就任する安里肇さん 亡き学長の遺志受け継ぐ


<ひと>沖縄国際大学の学長に就任する安里肇さん 亡き学長の遺志受け継ぐ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄国際大学に講師として着任してから30年目の節目の年に、第14代学長になることが決まった。任期は4月から。最年少での就任となる。学生たちの交流が盛んだったコロナ前の活気を取り戻そうと、さまざまな方策を練っている。

 2023年10月末に前津榮健学長が亡くなり、学長代理を務めている。22年からは前津学長の指名を受け、副学長として共に大学運営に腐心してきた。「前津さんは亡くなる直前まで学生のことを心配していた。学長の任務をこなしながらゼミを持ち続け、忙しくても学生とフィールドワークに出掛けていた」。常に学生が元気に安心して学べる環境を目指した前津学長の遺志を受け継ぐ。

 専門は情報教育。高校時代はラジオキットを組み立てて遊んでいた。琉球大学工学部に進み、同大大学院理工学研究科総合知能工学を専攻して博士(工学)学位を取得。沖国大で専門を生かしながら学生のキャリア支援に取り組む。

 同大の学生は95%以上が県内出身者だ。学生の背後には、沖縄の子どもの貧困問題が見え隠れする。学生の約40%は大学や県、国の奨学金制度を利用している。「学生の『学びたい』に十分応えられる大学であるためには、今ある奨学金制度を見直しながらもっと充実させなければならない」と強調する。コロナ下で関係が希薄になった学生同士の交流も気に掛ける。3月末には学生が集えるフリースペースを設けた厚生会館の改装工事も終える予定だ。

 趣味は食べ歩きと映画鑑賞。休日はミステリー映画の謎解きも楽しむ56歳。