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デマ書き込みで損害賠償 モバプリの知っ得[264]


デマ書き込みで損害賠償 モバプリの知っ得[264] イラスト 小谷茶(コタニティー)
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「志村けんさんにコロナをうつしたのは○○だよ」とうその書き込みによって名誉(めいよ)を毀損(きそん)されたとして大阪府の女性が投稿者を訴えた裁判で、大阪地裁は投稿した2人にそれぞれ12万円の支払いを命じました。女性の元(もと)にはうそやデマを信じた人から誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)のメッセージ【※1】が多く届いたとのことです。

国民的スターの志村さんが新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなった時は、多くの人が衝撃(しょうげき)を受けたと思います。その際、「あいつが悪い」「あいつが犯人だ」とも読み取れるデマが投稿されたことで、不安や怒り、困惑などの感情の「はけ口」として大阪の女性は利用されたのでしょう。盛り上がるスポーツの試合で負けた時なども「あいつが戦犯だ」とネット上で犯人探しが行われ、誹謗中傷の書き込みが並ぶことがあります。芸能人を巡る報道、痛ましい事件などでも「戦犯探し」は行われます。うっぷんをはらすために、安易な気持ちで名誉を毀損する書き込みをしてはいけません。

さらに名誉毀損は、事実であったとしても名誉を傷つけることで成立します。今回のニュースを見て「“デマだから”名誉毀損になるんだ」と結論づけると少し間違えてしまいますね。名誉毀損に関する法律は結構難しく【※2】、大人でも理解している人は少ないと思います。車を運転する人が道路に関する法律を学ばないと運転免許を取得できないのですから、SNSを使う利用者も名誉毀損などの法律についてもっと学ばなけらばいけないでしょう。

~ 言葉の解説 ~

※1 うそやデマを信じた人から誹謗中傷のメッセージ … 似た事件として、2019年には、悪質なあおり運転事故の容疑者として「この人が犯人と一緒にいた女です」と無関係の女性の個人情報がネットに書き込まれ、デマを信じた人たちからの誹謗中傷と脅迫(きょうはく)が大量に届く事件が発生しました。さらにこのデマを信じて「早く逮捕されるように拡散お願いします」と政治家がSNSに書き込み、辞職する事態にも発展しました。

※2 名誉毀損に関する法律は結構難しく … 例えば、政治家や著名人の問題ある行動を告発した時には「公共性がある(みんなのためになる)」として、名誉毀損の例外になることもあります。このような例外やケースバイケース(状況によってそのたびに判断)ということも多いため、ニュースなどをチェックする時には「どの部分に問題があったのか」を注目する必要があります。

モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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