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恩師に感謝の“たすき” 北山高校の駅伝部を指導、大城さんが定年退職へ 沖縄の長距離界レベル向上に尽力


恩師に感謝の“たすき” 北山高校の駅伝部を指導、大城さんが定年退職へ 沖縄の長距離界レベル向上に尽力 孫の手を取り、部員らとゴールテープをくぐる大城昭子さん(中央)=23日、今帰仁村の北山高校
この記事を書いた人 Avatar photo 池田 哲平

 母校でもある北山高校(今帰仁村)の男女駅伝部を指導し、沖縄の長距離界のレベルを引き上げてきた大城昭子さん(60)が3月末で定年退職を迎える。大城さんに感謝を示そうと、駅伝部員やOB、保護者らによる駅伝が23日、同高を発着点に開かれた。大城さんは部員らとたすきをつなぎ、3人の孫の手を取りながら、笑顔でゴールテープをくぐった。約38年間の教職員、指導者としての歩みは、これで一区切り。今後は同校の外部コーチを務めながら、県陸上界の発展に力を尽くす考えだ。

 大城さんは同校卒業後に、中京大で長距離を始め、全国都道府県女子駅伝などで活躍。沖縄に戻った後、北山高校での臨時教員を経て、名護商業で本採用となり、本部、名護、辺土名などに赴任した。名護高校では、女子駅伝部を率いて県大会優勝の常連校へと成長させた。

 2014年に北山高校に赴任すると、全国の強豪校のトレーニングを組み合わせるなどして編み出した「北山ドリル」によって、生徒らの競技力を引き上げてきた。男子6回、女子5回の県大会優勝、2021年には都大路で県勢男子最高位の27位に入った。OBが箱根駅伝で活躍するなど、全国レベルで活躍する選手を輩出した。

 23日の駅伝は今帰仁村内の約8キロで感謝のたすきをつないだ。スタートと最終区間は大城さんと部員らがともに走り、ゴールを目指した。多くの関係者が見守る中、ゴールテープをくぐった大城さんは「(教員生活は)振り返るとあっという間だった。子どもたちや、地域が支えてくれたからこそ、指導することができた」と充実した表情で語った。今後は「積み上げてきた自分のノウハウを少しでも継承していきたい」と話した。

 駅伝には21年にアベック優勝を果たした際の主将だった宮里洸さん(20)、呉屋優梨愛さん(20)も駆けつけた。宮里さんは「北山高校で過ごした日々で(大城さんは)『お母さん』だった。調子が悪いとき、けがでつらいときも支えてくれたから、練習に打ち込めた」と感謝した。

 (池田哲平)