琉球大(西田睦学長)は組織の在り方や業務をデジタル技術で変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)に2022年から本格的に取り組み、成果が出始めている。西田学長をトップとした「琉大トランスフォーメーション(RX)」推進本部傘下の推進室長を務める岡崎威生副学長=工学部教授=に取り組みや課題を聞いた。
―取り組み方法は。
「全学で業務を改善するプロジェクトチーム(PT)を募集している。推進室がチームからの相談に対し助言や技術支援をしている。モットーは『楽しくチャレンジ』『まずは実行(アジャイル型)』『デザイン思考』だ。22年度には114件のPTが完了し、そのうち26件を表彰した」
―どういった成果が出ているか。
「表彰されたPTの中には、職員の弁当注文を簡単なアンケートツールで取りまとめて業務改善を図るちょっとした取り組みもあった。システムを組むような大がかりなものではなく、働きやすい職場づくりのために、ちょっとしたことから始めるのが良い」
「一番成果があったのは早くから働き方改革に取り組んでいた琉大病院だ。従来、がんの統計情報をエクセル(表計算ソフト)で手作業で報告書にまとめる作業に約27時間かけていたが、統計データを自動集計し可視化する『BIツール』を導入して14分に短縮した。琉大が県内各病院にも依頼してがん治療の症例を取りまとめて報告書を作成し、病院ごとに得意な症例を一般に可視化している。先進的な取り組みで県外でも注目されている」
―成果が出ている理由は。
「取り組み自体はボトムアップだが、学長がトップダウンで方向性を示していることも大きい。推進室は2週間に1回、学長も交えた幹部会議を開いて報告や相談をしている。規則があって業務改善が阻まれている場合でも、幹部に相談すると『規則は後から変えればいいので対応してほしい』と指示が出る。だから早く対応できる。業務を改善したい人がやりたいと思っている時に対応しないと、やる気はうせてしまう。なるべく時間をかけずにフィードバックをしている」
―課題は。
「取り組みを進めているセクションでは日常の業務が変わり始めているが、まだ学内での知名度は低い。技術支援のサポートをもっと拡充して、学内に広めたい」 (聞き手・梅田正覚)
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琉大、DXに一定の成果 岡崎副学長に聞く 全学からPT募集、技術支援
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琉球新報朝刊