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韓国、かさむ学習塾代 少子化でも3年連続最高更新


韓国、かさむ学習塾代 少子化でも3年連続最高更新 学習塾が集まるソウルの通り=3月26日
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 【ソウル共同】苛烈な受験戦争で有名な韓国で、家庭の学習塾向けの費用が増え続けている。統計庁が14日に調査結果を発表した。2023年に小中高生が習い事に費やした金額は計27兆1千億ウォン(約3兆600億円)で前年比4.5%増。少子化が進む中、3年連続で過去最高を更新した。教育費の家計圧迫は若者が子どもを持つことを敬遠する要因の一つだが、塾通いの過熱化は止まらない。
 韓国の女性1人が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率(23年)は0.72と世界最低水準で、若い世代が抱える経済不安の解消が急務とされる。
 尹錫悦(ユンソンニョル)政権は昨年、教育過熱を抑えようと、大学入試の共通試験から超難問を排除すると発表した。親は傾向の変化を懸念し、かえって対策強化にかき立てられたとの見方がある。
 調査結果によると、23年には小中高生の78.5%が習い事をし、このうち高校生1人当たりの出費が月平均で74万ウォン(約8万3千円)、中学生59万6千ウォン、小学生は46万2千ウォンだった。
 日本の場合、文部科学省が行った21年度の調査によると、塾代などの学校外活動費は公立高に通う子で月平均約1万7千円、私立高は約2万5千円、公私立中は約3万1千円、私立小が最も多く約5万5千円。単純比較はできないが、韓国の教育熱の高さがうかがえる。
 韓国では英語や数学、美術など科目ごとに異なる塾に通わせるケースが一般的だ。幼少期から英語を学ばせる家庭も多い。国会議員によると、幼児向け英語教室の数は4年間で約1.4倍に急増し、月謝は平均121万ウォンと高額だ。
 ソウルの女性会社員(32)は経済力による教育格差を懸念し「塾代を十分に出せるか分からないので、子どもを持つ気になれない」と漏らした。