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「サンクコスト」に惑まどわされない モバプリの知っ得[270]


「サンクコスト」に惑まどわされない モバプリの知っ得[270] イラスト 小谷茶(コタニティー)
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これまでに費(つい)やしたお金や時間、手間のことをサンクコスト(埋没費用(まいぼつひよう))と呼びます。そのサンクコストを「もったいない」と感じ、物事を止められなくなることを「サンクコスト効果」と呼びます。私は以前、毎月3千円を支払うと自動販売機から毎日飲み物が1本もらえるサブスクに加入していました。その時は、毎日繰り返しジュースをもらっていましたが、だんだんと「別に飲みたくないのに“損をしたくない”から飲む」という気持ちになりました。サンクコストに振り回された体験です。

スマホのゲームなどは、課金する際にこうした「サンクコスト効果」【※1】をうまく刺激します。「今ガチャを止めたら、すでに支払った2千円が無駄(むだ)になる。当たりのキャラクターが出てくるまで、あと5千円分ガチャを回そう」といった具合です。ギャンブルや投資(とうし)などもサンクコスト効果が起こりやすく、さまざまな場面で私たちの判断を惑わします。

「スマホゲームに100万円課金でトラブル」「詐欺(さぎ)で1千万円だまし取られる」といったニュースで「なぜこんな大金を使うのだろう」と疑問に思ったことはありませんか? 実はこうしたニュースを深掘りしていくと、少ないお金からスタートし、サンクコスト効果で止められなくなり、結果として大金を使ってしまったということが多々あります。サンクコスト効果に振り回された失敗は、思った以上に私たちの身近なところで起きているのです。まずは言葉を知って、その上で自分の判断がサンクコスト効果に惑わされていないか意識してみましょう。

~ 言葉の解説 ~

※1 サンクコスト効果 … 別の呼び方で「コンコルド効果」とも言います。これはイギリスとフランスが共同で開発した音速ジェット機「コンコルド」が、開発中に赤字になることが予想されていたにも関わらず、投資したお金と時間が惜しく、開発を続けた結果、失敗したことに由来します。個人の判断だけでなく、大きい企業や組織もサンクコスト効果によって商業的に失敗した事例は多くあります。

モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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