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ADHDにペアトレ有効 開発した島袋博士(OIST)会見


ADHDにペアトレ有効 開発した島袋博士(OIST)会見 ペアレントトレーニングの有効性を語る島袋静香博士=12日、恩納村の沖縄科学技術大学院大学
この記事を書いた人 Avatar photo 外間 愛也

 注意欠如・多動症(ADHD)がある子どもの保護者向けプログラム開発への貢献が高く評価され、2024年度の科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者に選ばれた沖縄県出身で沖縄科学技術大学院大学の島袋静香博士(52)が12日、恩納村の同大で報道陣の取材に応えた。親を通して子の行動に介入し、行動変容を目指す支援プログラム「ペアレントトレーニング(ペアトレ)」の有効性などを語った。

 島袋博士は2013年からADHDに特化したペアトレのプログラム開発に取り組んだ。「ADHDの子は何度も間違える。そのうち親が疲れてしまい、いらいらしたり、子を好きになれないと感じたり、手を出したりすることにつながる」と指摘。こうした問題を包括的に解消できるプログラムを目指した。

 開発したプログラムでは、複数人の保護者がグループを組んでADHDの子どもの特性や対処方法を学ぶ。「ADHDとは何か」の理解を深めることから始まり、保護者のストレス緩和法、周りとのコミュニケーションの取り方、具体的な対処方法などを習得する。

 数人の母親を対象とした試験的な調査から始め、15年にプログラムの原型を完成させた。19~21年には沖縄、福岡、福井の3県の研究機関や医療機関と連携した調査に取り組んだ。調査前、調査直後、調査から3カ月後に保護者アンケートをした結果、効果の面で他の療法より優位性が見て取れたという。

 今後について島袋博士は「プログラムを実施できる人材がまだ不足している。沖縄から人材育成を進め、少しずつ全国に広げたい」と意欲を見せた。現在は県内の小学校で教員にプログラムを学んでもらう取り組みを進めている。

 島袋博士は研究職を目指す生徒、学生へのメッセージを送った。「私自身は県内の短大を卒業後、社会のために何ができるかを常に考えていた。自分が何をしたいか、そのために何をするべきかを考え、その結果として今の仕事に就いている。自分自身と対話し、答えを見つけてほしい」と激励した。

 (外間愛也)