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琉大が菓子を開発 サツマイモから天ぷら ミーバイのパウダー活用 沖縄


琉大が菓子を開発 サツマイモから天ぷら ミーバイのパウダー活用 沖縄 琉球大学(資料写真)
この記事を書いた人 Avatar photo 外間 愛也

 琉球大学(西田睦学長)は5月29日、西原町の同大で学長記者懇談会を開き、魚のフードロスゼロを目的とした魚介類菓子と、サツマイモの安定生産と地産地消推進を目指したイモ菓子を開発したと発表した。同大が取り組む研究の成果を生かした商品開発となっており、開発には大学生らも関わった。魚介類菓子は「琉大銘菓はたのすけ」の名称で同日から、イモ菓子は「琉大うむてん」の名称で6月5日から、いずれも琉大生協で販売した。「うむてん」は売れ行き好調で、初回生産分は完売した。 

琉大銘菓はたのすけ 養殖ハタの内臓を加工

 「琉大銘菓はたのすけ」は、同大が陸上養殖しているヤイトハタ(アーラミーバイ)の内臓をパウダー状に加工し、ごま菓子にまぶした菓子。琉大は養殖のヤイトハタを「琉大ミーバイ」と銘打ち飲食店への出荷や加工品の開発などを進めているが、内臓などは廃棄されていたことから、有効活用する方法を検討した。

 農学部の高橋誠准教授と学生、民間企業が連携し、ヤイトハタの内臓を無塩発酵させパウダー化する技術を開発した。高橋准教授によると魚の可食部は一般的に50%ほど。内臓は魚粉や魚醤(ぎょしょう)、塩辛などに用いられることが多いが、利用が限定的なため、新たな利活用方法を模索したという。

琉球大学農学部の学生らが民間企業などと連携して開発した「琉大銘菓はたのすけ」

 学生らは内臓の発酵方法やお菓子のレシピの考案、パッケージデザインなどに関わった。パッケージには琉大ミーバイの絵を大きく配置し、箱の中に琉大ミーバイの写真と陸上養殖やお菓子開発の取り組みを載せたポストカードを入れている。

 同大では今後、琉大銘菓はたのすけを県内土産品店などに広げたい考え。パウダーそのものを飲食店に卸したり、パウダーをだしやインスタントの汁物に加工したりして、新たな販路を開拓する方針。別の魚種のパウダー化も研究する。

 農学部4年次の平良英之輔さんは「先生や学生仲間、民間企業など多くの協力を得て未利用資源の活用法を開発し、商品化できた。多くの人に手にとってもらいたい」と期待を込めた。

農学部4年の平良英之輔さん(左から4人目)、高橋誠准教授(左端)ら=5月29日、西原町の琉球大学

琉大うむてん 「無病化」イモを活用

 琉大農学部の関根健太郎准教授は、イモや果樹の苗から病原体を取り除く「無病化」の技術の研究と普及を進めており、無病化した苗から生産したイモの加工・販売に取り組んでいる。その一環として琉大の農場で育てたイモを活用したうむくじ天ぷら「琉大うむてん」を開発した。

 関根准教授によると、病原体に感染したイモや果樹の苗を育てると、病気を拡散する可能性があるという。一例として、サツマイモ基腐病(もとぐされびょう)が県内含め全国で広がり、大きな問題となった現状を説明した。

商品化した「琉大うむてん」(手前)と試作中のイモのチップス

 琉大は南部農林高校や沖縄美ら島財団と連携し、植物の苗を無病化し増殖する技術、病原体がいないことを確認する検出技術を確立してきた。病原体のいない苗を普及させるため、生産者から苗を預かり、無病化の処置をした上で返す取り組みも進めている。

 関根准教授と学生、民間企業が連携し、無病化した苗から育てたイモを用いた商品開発を検討した。大学内で実施したアンケートの結果も踏まえ、第1号として琉大うむてんを開発した。イモのチップス、サプリメント、イムゲー(芋酒)などの試作も進めており、順次商品化したい考え。

 農学部2年の森咲楽さんは「無病化の技術を利用して生産した琉大ブランドのイモを広く売り出し、農業課題の解決、新規就農の促進などにつなげたい」と意欲を見せた。

関根健太郎准教授(前列右)、森咲楽さん(同中央)ら

(外間愛也)