食材としては全国的にはなじみの薄いナーべーラー(ヘチマ)を商品化させるプロジェクトが進行している。
これまで県産食材を使った生協商品の生産を手掛けてきた県内の農業生産法人と県外食品メーカーのタッグが新たなナーべーラーレシピの考案に乗り出す。目指すは第二のゴーヤーと言えるほどの浸透を図ることだ。
6月初旬、名護市の農業生産法人KSファーム(島袋勝博社長)の農場を調味料製造のエバラ食品工業(本社・横浜市)と相生産業(本社・東京都)の担当者やフードコーディネーターら8人が訪れた。農場では沖縄の品種「美らへちま」を育てている。
KSファームやエバラ食品工業などは、大阪いずみ市民生協の約56万人の会員向けに、沖縄県産食材を使った「ミールキット」を販売してきた。
ミールキットは、大阪いずみ市民生協の人気商品の一つ。カット済みの野菜など材料と調味だれ、レシピの説明書がセットになっており、簡単に調理することができる。
KSファームは生協の契約農家としてピーマンやゴーヤーなどを卸してきた。調味だれはエバラ食品工業や相生産業、創味食品が手がける。これまで、ゴーヤーチャンプルーやトウガンの煮込みなどのキットを販売してきた。
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農場を訪れた担当者らは「美らへちま」の栽培状況などを見学した後、名護市内の飲食店でナーべーラーを使ったみそ汁やみそ煮などを試食した。
エバラ食品工業大阪支店の家田一輝さんは「本土では味わえない食感だ」とし「多くの人に食べてもらえる商品を開発したい」と話した。相生産業大阪事務所の鈴木健太所長は「ナーベーラーの個性に合ったタレを作りたい」と意気込む。
レシピ開発の中心的役割はイデフードスタジオ(大阪府)の出原和枝フードコーディネーターが担う。ナーべーラー料理を一緒に味わった出原さんは、味や食感の個性が強く、本土では好みが分かれる食材だと分析した。その上で「ゴーヤーと同じように、味覚が浸透していくことを目指したい。みそ汁の具材の一つにしてはどうか」と提案した。
KSファームの島袋社長は、県産食材を県外でも食べてもらえることは「うれしいことだ」と話す。「販売先を確保することで、市場価格に左右されない利益確保は可能だ」と経営戦略の重要性を強調した。