ユニークな物品の販売やイベントの仕掛けでローカル鉄道の経営を維持する銚子電鉄(千葉県)の竹本勝紀社長=写真=がこのほど、沖縄事業再生研究会に招かれ那覇市内で講演した。竹本氏は自身の経営理念について「必要なのはお金ではなく、時間、活力、イマジネーションだ」と話した。競争社会を生き抜くには、環境の変化に応じて小さなことでも自己変革を続ける「ミルフィーユ改革」が重要だと説明。「大切なのは『より一層』という考え方だ」と強調した。
昨年開業100年を迎えた銚子電鉄は、自動車社会の到来などで過去に何度か存続の危機に立たされたが、学生や高齢者の移動を支えるローカル鉄道として存続してきた。
鉄道部門単独では赤字のため、有名菓子を自虐ネタで模倣して本家に「黙認」されているという「まずい棒(マズいです!経営状況が)」や、地元特産の「ぬれ煎餅」などの物販が話題を呼び、その売り上げが経営を支えている。
講演で竹本社長は、現在目指しているのが「乗って楽しい日本一のエンタメ鉄道」だと説明。
株主にはかつて、鉄道事業を廃止して物販会社になるよう提案されたというが、竹本社長は「銚電が電車を止めたら、支持する人はいなくなる。ローカル鉄道の使命は住民の移動手段の維持、広告塔、情報発信基地だ。商品開発も地元産業とのコラボを意識している」と経営理念の大切さを強調した。
(島袋良太)