【那覇】ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、ポーランドに避難してきたウクライナの子どもたちを受け入れる託児所を現地で開設・運営している那覇市出身の東優悟さん(27)が6月21日、那覇市の真和志高校の生徒たちに、リモートで平和講話を実施した。
戦争で家族を失い、悲しみを背負いながらも異国の地で一生懸命に生きる避難者を支援してきた東さんは「理想とする平和を探してほしい」と訴え、戦争のない世界をつくるために一人一人が考えることの重要性を強調した。
講話後、本紙の取材に答えた東さんは、戦争で傷ついた家族のことを高校生に伝えたと語った。知人のウクライナ人の男性が妻と子ども4人を残して戦場に向かい、戦死したという。東さんは「戦地に向かう人は、家族のために自然の美しいウクライナを残すために戦っている。だけど、残された家族が本当に望んでいたのは、国を守ることではなく、父親の存在だと思う」と話し、命よりも大切なものはないとした。
また、軍事力で均衡を保とうとする国際社会の在り方にも疑問を呈した。「抑止力を担保とした『平和』は、常に脅し合いをしている状態。それを『平和』と呼んでいいのか」と強調した。
ウクライナやロシアの現状を見つめてきた東さんは「ウクライナ侵攻は、父親のいない子どもを多く生み出してしまった」と声を落とし、「武器を必要としない世界にすることが理想」と平和への思いに力を込めた。(友寄開)