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多文化共生とネット モバプリの知っ得[283]


多文化共生とネット モバプリの知っ得[283] イラスト 小谷茶(コタニティー)
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文部科学省は6月、公立高校入試の試験問題に振り仮名を振ったり、外国籍の生徒に“特別枠”を設けたり【※1】などの配慮を求める通知を出しました。国際化が進む現代社会において、異なる文化の人と同じ社会で生きていくために、この通知は非常に重要な一歩といえるのではないでしょうか。しかし、その一方でネット上では、デマなどによって外国人への憎悪をあおるヘイトスピーチ(差別的な発言、憎悪表現)が多く見られます。このような状況は、私たちの社会にとって大きな課題となっています。

最初は「差別はよくない」と考えていても、ネットでヘイトスピーチに触れ続けることで、無意識の偏見が植え付けられてしまう危険性があります。そして、その偏見が差別を正当化する考えにつながることもあるのです。インターネットは、情報が偏りやすい特性を持っており、一度偏見が植え付けられると、加速的に広がる可能性があります。実際に、アメリカでは銃乱射事件などのヘイトクライム(差別を元にした犯罪、憎悪犯罪)が発生しており、大きな社会問題となっています。

ネットを使う時は、このような状況を認識し、自分自身の意識を常に見直していく必要があります。残念なことに、自分の人気取りのためにヘイトスピーチをする政治家やインフルエンサーもいます。自分もそうした差別的な考えに陥らないように、情報源を確認して、情報を集めてみましょう。また、異なる文化や背景を持つ人々と交流することで、多様な価値観を理解し、お互いに尊重し合うことも大切です。

~ 言葉の解説 ~

※1 試験問題に振り仮名を振ったり、外国籍の生徒に“特別枠”を設けたり … 特別枠などの配慮を求めることを「アファーマティブ・アクション」(積極的差別是正措置)といいます。分かりやすくイメージしてもらうために、ゲームを例に説明します。バトルロワイヤルゲームでは、PCとスマホのプレイヤーが対戦すると、PCのプレイヤーが圧倒的に有利になります。この不平等をなくすために、スマホユーザー向けにオートエイムなどのバランス調整機能が導入されることがあります。これにより、スマホユーザーも「勝てるかも」と前向きな気持ちでゲームに参加するようになります。この仕組みは、アファーマティブ・アクションと似ています。社会的に不利な立場にある人々に対して、公平な機会を提供するための調整をすることで、誰もが希望を持って社会に参加できるようになるのです。

モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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