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山之口貘顕彰「第22回神のバトン賞」入賞作品紹介


山之口貘顕彰「第22回神のバトン賞」入賞作品紹介
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 沖縄県内の小中高校生を対象とした詩の賞「第22回神のバトン賞」(琉球新報社主催)の受賞作が決まった。同賞は県出身の詩人・山之口貘の生誕100年を記念し、2003年に創設された。最高賞の「神のバトン賞」には、高校の部で玉城隼之介さん(那覇高3年)の「帰路」、中学校の部で池田真歩さん(船浮中1年)の「家族の八年」、小学校低学年の部で森田千博さん(宜野湾小2年)の「モノレールのった」が選ばれた。小学校高学年の部は該当作がなかった。応募総数602作品から、佳作は8作品。入賞作品を紹介する。表彰式は8月3日に開催する予定。

(当銘千絵)


【高校の部】

玉城隼之介(那覇高3年)

<神のバトン賞>玉城隼之介(那覇高3年)

帰路

雨の帰り道
汚れたハンカチを見た
靴の跡がついて
しわくちゃで
それでも今は
見つけやすい
ガードレールの上で
一人雨に濡れ
持ち主の元へ
帰るのを
待っている
僕はしばらく止まって
それから傘を閉じ
それからまた歩き出した
傷だらけになりながら
誰かの優しさに助けられながら
孤独に、必死に
願いを果たさんと
雨に濡れる
そんなハンカチに敬意を表して
今日は彼と同じく
雨に濡れよう


<佳作>美里達季(豊見城高1年)

坊主

坊主それは一番かっこいい髪型だ
世間では坊主という髪型はダサいと言われている。だが、僕はそう思わない。男女平等が語られている今の世の中、こんなにも男女平等な髪型はあるだろうか。そんな事を考えながら僕は今日も髪をかる。
坊主それは僕が一番好きな髪型だ
坊主は、僕を表現してくれるものだ
力強い自分、優しい自分、かっこいい自分、こんなにも自分を表現できる髪型はあるだろうか、そんな事を考えながら、僕は今日も髪をかる。


<佳作>塩川琥生(北部農林高1年)

僕だけの夕焼

部活終わりの 帰り道
夕日が照らす 入道雲
橙色に 染まる中
今日の自分を 振り返る
家に着く頃 振り返る
宵の明星 輝く空
夕焼け空が 目に入る
迷わずカメラに 収めてしまう
これが僕の
至福のひとときだ


【中学の部】

池田真歩(船浮中1年)

<神のバトン賞>池田真歩(船浮中1年)

家族の八年

父の誕生日
私は四歳だった
私より背の高い
椅子の上で
家族三人
写真を撮った
父の誕生日
私は十二歳になった
私より背の低い
椅子の上で
家族四人
写真を撮った


<佳作>松井洸太(佐敷中1年)

いつだって

おおきなはっぱを なびかせて
あつくても さむくても
あったかい ひをあびて
きいろのはながさくひを
あめのひも はれのひも
せのびして ひをあびて
まっています
たくましいはっぱを なびかせて
あつい あつい
てりつける ひをあびて
たくさんの たねがなるひを
あつくても かぜがつよくても
せのびして ひをあびて
まっています
いつだって どんなひだって


<佳作>渡久地ここな(佐敷中1年)

風の旅

わたしは 通ります
やさしく、スラーっと
わたしは 通ります
びゅんびゅんと、いきおいよく
木や、花や、草や動物にあいさつをして
わたしは、風です
わたしは、たくさんの生き物に会いたい
だから、通ります
あいさつをしながら、わらいながら
わたしは通ります
まだまだ通ります
おこっていても、泣いていても
わらうときも、うれしいときも
今日はどこへ行こう?
わたしは通ります


【小学校高学年の部】

<佳作>大城利京(沖縄アミークス小4年)

幸せ

人間は、全員ちがう考え
好きなスポーツ
好きな食べ物
好きなことばかり
ワクワクするよ
すっきりするよ
ドキドキするよ
友達がいる
それはそれでうれしい。
家族がいる
それもうれしいな
いつも幸せ
明日もスポーツできる。
ふつうにすごせる
それも幸せ
「ナイスシュート。」
みんなで声をかける
休み時間や放課後のクラブ
おもいっきりあせをかき
次の日も続く
それも幸せ
サッカーをやっているぼくは
今度せんばつメンバーになって
外国に行くことになった。
79年前はありえなかったこと
せんばつにえらばれたことも
うれしいけど
スポーツで交流できるのが
本当にうれしい。
心から幸せだと思う。


<佳作>浦崎直生(城岳小6年)

僕の生き物係

僕の家の生き物係は面白い
僕は家の生き物係だ
家には色んな生き物がいる
金魚にカメにイモリにカブトムシ
にゃんこにお父さんに僕
不思議なことがある
僕が生き物にエサをあげようとしても
見向きもしない
お母さんがあげようとすると
みんなよって来る
カメは首をのばしお母さんの方をむく
僕がエサをあげようとしても見ない
僕が指を出せば イート フィンガー
僕の指を食べようとする
僕がカメをにらむとカメもにらんでくる
僕がカメの真似をして首を伸ばせば
カメはもっと伸ばしてカメが僕よりえらいと競い合う
イモリもお母さんを見つめている
お母さんが右に動けばイモリも視線がスローで右 左に動けばイモリも視線がスローで左に動く
僕が動いても反応しない
Why? Why? Why?
僕は生き物からの信らいがない
お母さんが「ごはんよー」と言えば
真っ先にかけ寄って
「ワーイ ワーイ ワーイ めしだ~」と
お父さんと僕が言う
みんなの生き物係 お母さん
お母さんはみんなに信らいされる
僕の生き物係は
お母さん
Thank You mom


【小学校低学年の部】

森田千博(宜野湾小2年)

<神のバトン賞>森田千博(宜野湾小2年)

モノレールのった

モノレールのった
モノレールのった
はやくて、ははは
たのしくて人いっぱい
モノレールのった
モノレールのった
空とんで、あはは
うれしくてむねいっぱい
いろんなモノレール
のりたいな


<佳作>伊良波栄仁(宜野湾小2年)

ぼくがすきなもの

あまずっぱい マスカット
みずみずしい メロン
つるつるしている スイカ
でっかい ウルトラマン
バッタみたいな かめんライダー
おいしそうな アンパンマン
べんきょうをおしえてくれる おとうさん
りょうりがおいしい おかあさん
これぜえんぶ だぁいすき


<佳作>下地海桜(白浜小1年)

にゅうがくしき

みずいろの
らんどせるを
せなかにかついで
たいいくかんにはいったら
ひいいーとおもった
ひとがいっぱい
どきどきしてこわかったあ