先日、私が粟国小学校で勤めていた時の教え子12人との食事会があった。25年ぶりの再会だった。教え子は今年で37~38歳。現在は粟国島や沖縄本島で働き、立派な社会人、親となっていた。5年生のころのエピソードや仕事の話、子育ての話で盛り上がった。
食事会の途中、教え子に話す場面があった。「当時、先生はきちんとさせたいという気持ちが強すぎて、頑張りを褒めることよりも注意することの方が多かった。だからみんなのやる気をなくし、嫌な思いをさせていたと思う」
すると教え子の一人が「先生そんなことないですよ。楽しかったし、だから今日みんな集まっているんですよ」と笑いながら言ってくれた。別の子が「先生が俺たちに贈ってくれた『初心』と書いた色紙を覚えていますか。俺は今でもその言葉を大切にして仕事を頑張っています」と、名前の背景に薄い灰色の文字で大きく「初心」と書かれた名刺を私に渡した。
15歳で島を離れ、寂しい思いをしながらいろいろなことを経験し、社会で生きていくために必要なことを学び、努力してきたことが伝わってきた。私の言葉が今も教え子の中に生きていることを知り素直にうれしかった。
帰り際にライングループを作りまた集まることを約束し、解散した。
翌日「最高の時間でした。何よりも先生が元気で当時のままの先生だったのがうれしかったです。これからも俺たちの最高の先生でいてください」とラインがあった。このような言葉を教え子からもらえるなんて思ってもいなかった。ありがとう。子供の成長が教師のやりがいにつながることを実感できた瞬間だった。
![](https://ryukyushimpo.jp/tachyon/2024/04/ishikawa.jpg?resize=184%2C184&crop_strategy=smart)
琉球大学付属小学校校長。県小学校特別活動研究会会長、日本特別活動学会九州・沖縄理事。沖縄戦の実相や継承のあり方を学ぶ学習会にも参加している。1966年生まれ、那覇市出身。